「どうりで」? それとも「どおりで」?

 そうか、なるほど、なっとく。「どーりでおかしいと思った」

 さて、この言葉、口で言うことは多いですが、文字に直すとどうなるでしょう?

 今回はそんな悩ましい「どうりで」と「どおりで」についてです。


 さっそくですが、下の文章を見てもらいましょう。


①どうりで変だと思った。

②どおりで変だと思った。


 皆さん、この文章を自分で書くとしたらどちらを採用するでしょうか。また、その理由も答えられるでしょうか。

 用字辞典ではどのようになっているか、このあと紹介しますので、少し考えてみてくださいね。

 今回は「NHK漢字表記辞典(NHK出版)」と「記者ハンドブック(共同通信社)」の2つを参考にしています。決して回し者ではありませんが、創作のお供に持っておくと便利な本でございますよ。


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 さあ、やっていきましょう。

 「どおりで」「どうりで」実のところ、この単語、辞書によって記載がまちまちで、非常に表記ぶれの起きやすい言葉なのです。自分が何の辞書を参考にしていたかきちんとした基準を設けないと、分かっていても別の方で書いてしまいそうですね。

 

 さて、今回参考にした辞書ではっきり書いてあったのは、「記者ハンドブック」の「どうりで」だけでした。

 なぜ「どうり」が採用されているのかと言えば、「どうりで」は、もともと「筋道がかなっている」という意味で、「道理どうりで」と考えられる、という立場のようです。


 逆に、「お」の「どおり」が使われる場合については、辞書が違っても記載内容ははっきりしています。

 こちらは「時刻どおり」「そのとおり」など、予想していたことそのままであるという意味の「どおり」が使われる場合に「とおり」「どおり」となるようです。


 しかし、「どおり」「どおり」を漢字とひらがなのどちらを採用するかは、辞書間で意見の違いがあり、どちらがより良いとは一概には言えないようです。

 ただ、「どおり」と「どおり」のどちらを使うかは、少なくとも自分で書く文章の中では統一した方が良いのは間違いないでしょう。




 さて話は変わって、ここからはちょっとしたクイズです。

 「十日」の読みは「とうか」「とおか」のどちらでしょうか?

 少し考えてから下を見てみてください。

 

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 手元の辞書では「十」の読み方は「とお」となっています。

 すなわち、「十日」の読み方は「とおか」ですね。

 もちろん、これをひらがなで書くことは多くはないでしょうが、文字入力するときに「とうか」と打っても「十日」は出てこないので、違いを実感することがたまにあるかもしれません。



 更に更に、ここからは余談の余談です。

 今回のお話とは直接関係はありませんが、皆さんは時間の表記「八時十分」の「十分」はどのように読んでいるでしょうか。

 恐らく大半は「じゅっぷん」と読むのではないでしょうか。

 しかし、常用漢字としての「十」は「」という読み方はあるものの、「」という読み方はないことになっています。

 なので、「十分」は教科書的に言えば「じっぷん」と読むことになりますね。


 本筋とは離れましたが、実際に発音している音と表記の違いは、なんとも感覚のずれがあるものだなあ、というお話でした。

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