拝啓、月下の君~もう一度、キスをして

星合香

Prologue

拝啓



わたしの愛は生きていますか?




出逢った頃は


あなたに恋をするとは思いませんでした。



春の夜、


わたしを見つめるやさしいまなざし。


それが恋のはじまりでした。




いつか夢で見たあの人は。


月明かりの下、白い花梅たずさえて。


甘いくれないのくちづけを。



凛としたあの面影は


あなただったのでしょうか。




なぜ、めぐり逢えたのでしょう?


出逢うはずのない恋だったと知っていますか?




記憶の中のわたしを呼ぶ声。



月見るごとに募る想い。


今も抱きしめて。



月のない夜は


遠くはるか。


風が祈りを届けてくれるでしょう。



聞こえますか?



薔薇の花、髪にさして。


今宵、まことの愛を誓います。




逢いたくて。


わたしは今日も夢を見る。




あの日のように


いつか叶えてくれますか?







  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る