閑話 異世界システム仕様 Ver1.10

 各話の中で断片的にマヤが転生した世界の仕様説明をしているが、正直わかり辛いと思う。そのため、今回あらためて異世界のシステム仕様についてまとめてみる。システム詳細に興味のない方は、読み飛ばすことををお勧めする。


――――


 お気づきの方が多いと思われるが、ステータスやアイテムボックスなどの仕組みは『ドラゴン〇エストⅡ、Ⅲ』辺りの影響を強く受け、かなり類似している。

『デスペナルティ』の所持金半分についてもまさにそうだ。


 参考情報として、C言語で記載した場合のデータ型、システムで想定した値の範囲を追記しておく。とはいえ、この世界がC言語でコーディングされているという意味ではない。実際にはもっと低レベルな言語で実装されていると考えて欲しい。


 ―――― 【ステータス】について


 ――――――――――

 名前 : マヤ

 性別 : 女

 年齢 : 15

 LV : 1    uint8_t (1-99)

 HP : 31    int16_t (0-999)

 MP : 6    int16_t (0-999)

 攻撃 : 7 (2+5) uint8_t (0-255)

 防御 : 4 (2+2) uint8_t (0-255)

 素早さ: 4    uint8_t (0-255)


 所持金: 1000G  int32_t (0-2000000000)

 スキル: ステータス

 知名度: Fランク (SABCDEFの7段階)


 武器 : ナイフ (+5)

 防具 : ぬのの服 (+2)

 頭  : (なし)

 盾  : (なし)

 ――――――――――


 ちなみに、『職業』はステータス上では存在しない。

職業はあくまでも『自称』が原則で、容姿、服装、スキルや知名度で何となく推測できるが勝手に決まるものではない。

『勇者』や『賢者』についても、名乗るだけなら誰でもできる。しかし、実績がなければ誰も信じてくれない、といった感じだ。


 LV(レベル):

 LVについては、上限 99 でこれを超えないようシステムで制限している。

勇者と呼ばれる人たちでおよそ 50~60程度だ。

そしてかつての大賢者様がレベル80台に到達したという記録が残っているが、その時点で健康寿命は限界だった。

残念ながらエリクサーでも老化を抑えることはできず、人族で上限のレベル99までレベル上げをすることは通常の方法では無理と考えられている。


 ちなみに、レベルアップすることで身体能力は大きく向上するが、見た目で筋肉がムキムキになるなど変化は起こらない。そのため、装備している武器などからLVをある程度推測できるが、これは装備品を弱そうなものにすることでごまかすことができてしまう。


 HP・MP:

 HP・MPについては上限 999でこれを超えないようシステムで制限している。

単純にレベルアップしただけでは 999に到達しないが、支援魔法やアイテム効果で一時的に 999まで上昇する可能性がある。


 攻撃・防御:

 符号なしの 8bitへ格納。当初の設計ではマイナスになることはあり得ない項目で演算処理後のキャリーフラグチェックを行っていなかった。

あとから仕様を建て増ししたバフ・デバフを使い不備を突かれ、第5話で値をラップアラウンドさせる事故を発生させてしまった。


 素早さ:

 符号なしの 8bitへ格納。設計ではマイナスになることはあり得ない。


 所持金:

 (表示上の)最小は 0G。そして、上限は 2,000,000,000G。

借金の仕組みは存在せず所持金を超える買い物はできないため、本来所持金がマイナスになることはないはずだが、内部処理的には符号ありで一時的にマイナスになるタイミングが残っていた。

『デスペナルティ』で所持金を半分にする処理が実装されているが、不用意に符号なしだと思い込み『論理右シフト』で実装していた。そのため、マヤに組み合わせ技を使われ、第1話で主人公マヤの所持金を激増させる事故を発生させた。


 知名度:

 Fランクが一番下で順にAランクまで、さらに上にSランクの計 7ランクが存在。

Fランクでは採取や探しものなど低難易度のものばかりで、マヤ単独ではまだ討伐依頼を受けられない。今後の冒険では手っ取り早く知名度向上を目指す予定だ。


 バフ・デバフ効果:

 第5話では詳細に触れなかったが、1レベルのバフ効果で値が 10上昇する。

例えば『はやぶさの剣-5』であれば、攻撃力が 5 - 50 = -45 となる。


 武器錬成時の発生確率は、およそ以下の感覚である。


 成功(レア、+1): 89/100 = 89%

 大成功(スーパーレア、+2): 1/10 = 10%

 超成功(ウルトラレア、+3): 1/100 = 1%


 そして、上記以外に『失敗』も存在するので、上記は厳密な数字ではない。

『失敗』の発生確率は『成功』ほど多くなく、効果付きアイテムの存在意義も薄いためほとんど見かけることはないだろう。さらにいうとに『-5』などという効果がどうやって発生したのか全くもって不明だ。おそらくこんなデバフ効果の武器はこの世界に1つしか存在しないだろう。

奇跡のレアアイテムだよ!おめでとうウィリアムさん!!!



 ―――― 【アイテムボックス】について


 この世界の人全員が持っている能力で、一人 20個までアイテムを収納可能。

この 20個とは別に、薬草やポーション、エリクサーなど『回復系アイテム』は上記とは別カウントで保持することができる。そして、回復系アイテムの最大数は 1アイテム辺り 255まで持つことができる。


 アイテムボックスに格納している限り外見からはアイテムの存在が分からず、仮に盗賊に襲われ死亡したとしても中身を奪われることはない。


 レベル上昇による収納数増加はなく、増やしたければ『魔法の袋』というアイテムを装備するとよい。魔法の袋を所持することで、収納アイテム数の上限を 10個増やすことができる(正確には、魔法の袋もアイテムスペースを 1つ消費するため実質 9個収納アイテム数を増やすことができる)。逆に、魔法の袋を装備から外すと収納可能数は元の 20個に戻る。但し、魔法の袋を装備して 20個以上のアイテムを所持している時は、魔法の袋を装備から外せなくなるので注意が必要だ。



 ―――― 【パーティ】について


 この世界で冒険者となり活動するなら、パーティを組み作業分担するのが基本だ。戦闘にせよクエスト遂行にせよ、一人より複数人で分担して行う方が、圧倒的に難易度が低い。しかし、マヤはしばらく『ぼっち』、もとい孤高なソロプレーを続ける見込みだ。


 一つ目の理由は、レベリングによって急激に強くなったことをパーティメンバーに悟られるのを避けるためだ。しかし、これはそろそろ解消見込みである。


 もう一つの理由は、パーティを組むとパーティメンバーに『アイテムボックス』の中身が知られてしまうからだ。戦闘中などで他人の所有アイテムを使う指示がだせるよう、パーティメンバー全員のアイテムボックスが連結するためのだ。


 もちろん、他人のアイテムを勝手に使ったり奪ったりできないよう『利用申請&承認』シーケンスがあるのだが、アイテムを使われることより大量のエリクサーやレアドロップアイテムの存在が発覚してしまうのを避けたいのだ。


 さすがに、所持金の金額まではパーティメンバーへ共有されないようだが、他人に見られたらまずいアイテム類を安全に保管できる場所が確保できるまでソロ活動を続けることになるだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る