はじめて朗読なんぞに挑戦してみたお話
俳優になりたい人生でした……。
嘘だ。俳優になろうだなんてだいそれたこと、一度だって思ったことはない。本当は、声優になりたかったのだ……。
あ、いや、これも正確ではない。「なぜ声の仕事に進まなかったのだろう」と、今になって思っているだけだ。
声の仕事を選ばなかった理由は、いくつかある。
まず、自分の声が好きではなかった。子供の頃カセットテープに録音された自分の声を聞いたとき、まるで他人がしゃべっているような上擦った声に衝撃を受け、それ以来ずっと自分の声は好きではなかった。
そして、自身の滑舌の悪さに辟易している。舌っ足らずな甘えたしゃべり方……であればまだ可愛げがあったかもしれないが、しゃべっていてもよく噛むし、呂律が回っていないことだってある。
そんな俺でも、うっかり声の道に入りそうになったことがある。
二十代の頃になぜか思い立ってバンドでヴォーカルをやることにした。けれども残念ながら音楽的才能に乏しかったため、活動は完全に趣味レベルに留まった。元より趣味として始めたものだから、何ら問題はなかったのだが……。
さて、前置きが長くなった。
そんな声の表現と縁遠い生活をしていた俺が、なぜ今になって朗読に取り組もうと思ったのか……。
それは、演じる楽しさに気づいてしまったからである……などと言うと大げさだが、単に読んでいて楽しいし、それを聞いてくれる人がいればもっと楽しい。
小説を書く理由と、大して変わらない。執筆だって、単に書いていて楽しいし、それを読んでくれる人がいればもっと楽しい。
はじめての朗読……ぜひ聴いていただきたい。
◆朗読『人間腸詰』作:夢野久作、朗読:たかなん ~ 世界が丸いお蔭で、あっしが腸詰(ソーセージ)になり損なった話 https://youtu.be/zDtNLNBbrUk
初回の朗読に、どうしてそんな小説を選んだ……そんな声が聴こえてきそう。だって仕方ないじゃないか。夢野久作すきなんだし。
ニッチを狙うという打算はあったし、一人称の独白形式なので感情も込めやすかろうと思った。
だけど、いきなり江戸弁とか難しすぎだろ! 考えてみりゃ、俺って関西人やん? 江戸弁なにそれ美味いのか!? ……てな感じやん?
せめて江戸落語の素養でもあれば、トントントンと小気味よく語ることもできただろうに……。
でもまぁ、なんとか及第点までは、持っていったつもりだ。
おかしなものでなんとか聴くことのできるレベルまでもっていくと、少し語りがもたつくところや、間の悪いところがやけに気になってくる。完璧を目指したくなってくる……いや、いまの技量じゃキリがないからやらないけど。
いきなりボス戦に挑まず、次はスライムからたおしてレベル上げにいそしむことにする。
初心者ゆえの無謀な挑戦は、俺の黒歴史としてこのまま置いておく……。
◆朗読『人間腸詰』作:夢野久作、朗読:たかなん ~ 世界が丸いお蔭で、あっしが腸詰(ソーセージ)になり損なった話 https://youtu.be/zDtNLNBbrUk
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