第4話 試験までの1週間

 それからあとの1週間、胡桃はひたすら勉強に打ち込んだ。いつもはガラガラの自習室も試験前になると混雑するので、満席で使えないときはは学食や近くの市立図書館で勉強した。


 1点でも多く、点数がとりたかった。できることなら満点。全教科。それを目標にしてやろうと思った。達成した暁には、きっと英梨華も自分のことを認めてくれるだろう。胡桃の頭に、英梨華と仲良く話をしている自分の姿が幾度となく浮かんだ。大学や入試についての情報を共有したり、定期試験や模試の答え合わせをしたり、お互いの趣味の話をしたりしている姿。勉強で分からないところを英梨華に教えてもらって、そして時折、自分が英梨華に教えたりするのだ。「今日の授業の内容がよく分からなかったのですが」「ああ、あれはね、こういうことだよ」——そんな会話を、英梨華としてみたいのだ。


 胡桃はがんばった。来る日も来る日も勉強した。やる気が出ないときは頭に必勝ハチマキを巻いて気合いを入れ、眠いときは濃いコーヒーを一気飲みし、それでもダメなときは洗濯ばさみで腕をつまんで意識を保った。

 



 そして、中間試験の日がやってきた。

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