藤沢チヒロ VS 大澤めぐみ!

藤沢チヒロによるまえがき


 札幌は吹雪だったけれど、羽田も寒い。

 関東の冬の寒さは肌に悪い感じがする。

 屋内は暖房がきいているけれどなんとなくコートの前をかき合わせて、ANAの長い通路をカートをゴロゴロいわせながら急ぐ。

 これから大澤めぐみに会うのです。


 ――大澤めぐみ作品に初めて触れたのは、一緒に同人サークルをやっている秋永真琴の家で。床に積まれたその月のラノベ新刊の中にそれがあった。

「おにぎりスタッバー」

 カバーイラストの少女に惹かれて手に取り読み始めたが、いきなり文章に魅了された。これ好きなやつ!

 遅読のわたしが一気に読了して後日返すと、秋永は「ふ~ん、貴女は饒舌な作家が好きだね~」とのんびり笑っていた。

 その後はむしろ私のほうが大澤めぐみファンであり、新刊が出ると真っ先に買って読んで感想を述べたりしていたのだが。

 気がついたら、大澤めぐみと秋永真琴、なんか対談とかしてる!? 懇ろになってる!? なんで!? 嫉妬!!!

 こうして我々のサークル「スタジオプリケ」は崩壊しかけたのです。


 なんとか秋永との関係を修復してしばらく。

 突然私にも、大澤めぐみから対談の打診がきた。「健全な創作コミュニティの運営について」というトピックの提案とともに。

 まじか! 会えちゃうの大澤めぐみに! むちゃくちゃ緊張する~!

 その日から、推しのアイドルの握手会に臨むオタクの気持ちで過ごしてきた。

 正直、トピックについてはぴんときていないのだけれども……。


 手荷物返却所を横目に、2番出口をくぐる。到着ロビーに、私の方を見て会釈をするひとの姿があった。

 大澤めぐみ……。


 やだっ……かっかわいい!

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