第3話 好きになったのは

今絶賛書きかけの小説がある。保健室の養護教諭とJKが恋をするっていう奴だ。それを中学3年間ほぼ毎日書いては直しを繰り返していた。


設定を作り直して序盤を高校に入ってカクヨムに出会って書き直したものの、それから今まで全く持って更新していないやつだ。


それには理由が沢山ある。


学校生活が忙しかったとか、某6つ子のアニメにどハマりしてそっちで似たようなカプを見つけて二次創作を生み出してたからとか。


でも一番大きな理由は、失恋。


私が久し振りに恋をした相手は好きになってはいけない相手だった。その人に出会って、私は理科が好きになった。その人に出会って、私は白衣フェチになった。


私は当時、自覚が無かった。友人にそれを茶化されても「違う」と言い張っていた。


これはあくまでも尊敬なのだと。お前達がアイドルやら歌手やら推しやら嫁やらに抱くのと同じだと。


私にとって紛れもなく恩師と呼べるであろうその人。私は彼と付き合いたいと思ってなかった。男女交際したいと思ってなかった。


ただ、いつか大人になって共に働きたいと。


認められたいと。


それだけを願っていたはずなのに。


私が小説の中で書き続けた「白衣さん」は所詮私なのだ。先生ではない。ただの私の理想なのだ。私の求める白衣さんを生み出したくて今の進路だって選んだ。結果的に先生と働けるならそれは幸せだろうって。


その人は私が高二になった頃には結婚していた。相手は私にとって大切な先生だった。


それを公表したのがその年の12月。


オタクの私はその2人の門出を祝福していた。大好きな2人が幸せになれた。素敵なことだ。喜ばしいことだと。


ただ、心の奥にしまい込んだ女の私は確かに傷付いたのだ。


その時に漸く気が付いた。


私が抱いていたのは恋心だったのだと。

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