第26話 縮小拡大お好みで!


次の日の朝。


「うぅーん…うん?何だこれ?」



私は見覚えの無いオオカミのぬいぐるみを抱いて寝ていた。


もふもふ〜気持ち〜!

でもこれ、どこかで見たことあるような…


あとフォレストウルフさんどこ行った?

昨日はベッドの下で寝た気がしたけど…違うところに移動したのかな?


とりあえず、ぬいぐるみをよく見るために持ち上げる。すると…、


「ワフッ!」

「ええ?!動いた?!」


ってあれ?これって…ぬいぐるみじゃなく、小型化したフォレストウルフさん?!


「ちっちゃくなったの?!」

「ワフワフッ!」


せっかく背中に乗ったりしようと少し楽しみにしてたのになぁ…


「ワフワフッ!」


私が少し落ち込んでいると、フォレストウルフさんは私のベッドから降り“見てて”と言うかのように吠える。


「ゥゥウウ…」


フォレストウルフが気合を入れるかのように力を貯めると、身体を淡い光が包み込む。


その光はだんだん大きくなり、やがて周りに溶け込むように消えていく。


すると、そこには昨日と同様の大きさのフォレストウルフさんがいた。


「すごっ!すごいよっ!」

「ワフンっ!」


誇らしげな顔でフォレストウルフが鳴く。

めっちゃ尻尾振ってる…可愛いやつだな!!


「大きさが変えれたんだね!」

『本来そのような事はないのですよー!!』


あ、エアおはよう。

従魔だからって事じゃないってこと?


『おはようですフィアちゃん!

はいです!普通、従魔になっても大きさなんて変わりません!勿論、色もですけど…。』


ええええー、またダメなやつー…?


「ワフ?」

「んーん?なんでもないよー?」


何だか心配そうに鳴くフォレストウルフさんをモフっていると、部屋のドアがノックされお母様の声が聞こえる。


「フィア?起きてるかしら?」

「はい!お母様!」


返事をするとお母様が部屋へ入ってくる。


「あら、起きてるだけで支度はまだなのね。」

「はい、今さっき起きたところです!」

「じゃあ支度ができたら言ってね?部屋にいるから。」

「はい!」


そう言うとお母様は戻って行った。


我が家は所謂貴族で領地もあって使用人も居たりするけれど、『自分で出来ることは自分でやる』というお父様のお爺様の…お爺様?


とにかく!だいぶ前の、恐らく初代の方針を今でもとっているので着替えなどは自分でするし、自室の簡単な掃除もする。


コックが居るけれど、簡単なものならお母様は自分で作るし、お父様は時々庭師と一緒に木の剪定をやってたりもする。


お父様の場合趣味に近いけど。


使用人の方達は基本、来客があった時にお茶をいれたり誰も使ってない部屋の管理をしている。あと朝起こしてくれたり…


洗濯は量が多いので使用人がやってくれている。が、時々お母様も一緒にやっているのを見掛けたりする。


とにかく、我が家は家がでかいから使用人を雇っているが、それ以外は比較的平民に近い貴族なのだ。



私は着替えを済ませ、フォレストウルフと一緒にお母様の部屋へ行く。


ドアをノックするとすぐにお母様が出てきた


「はいはーい?支度ができたみたいね」

「はい!バッチリです!」

「じゃあ朝食を頂いてからギルドへ行きましょうか。」

「はーい!」


朝昼晩の食事は基本雇っているコックさん達が作ってくれる。


今日は昨日のうちに朝からギルドへ行くと言ってあったので早く起きて作ってくれていたらしい。


いつもはお父様も一緒に食べるのだけれど、今朝はお母様と私とフォレストウルフさんの2人と1匹だけで朝食を摂った。


まだ朝早いからお父様は寝ているらしい。



朝食を摂っている間にルーシィさんが馬車を用意しておいてくれた。


フォレストウルフさんをどうするかという話になったが、小さくなってもらい抱っこして乗ったらびっくりされた。


けれど、何故かお母様に何かを諦めたかのような目で見られた。解せぬ…。





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