G事件


階段を登り最上階の6階。登り切って尚、彼女は隣にいた。

僕の部屋、601号室のドアノブに手をかけた。


「僕の部屋ここだから。送ってくれてありがとう」


「うん!また明日ね音無くん」


そう言って彼女は600号室に入っていった。

ドアの閉まる音が聞こえたと同時に

心の中で叫んだ。


「…何で部屋まで隣なんだよ‼︎」


ため息をついた後、僕は自分の部屋に入っていった。

部屋の中は外観と比べて割と綺麗で、部屋もそこそこ広い。

そのままベットにダイブしてあの子は何なんだ。そんなことばかり考えていた。

気づいた頃には爆睡していた。


「ギャァァァアア‼︎」


隣の部屋からとてつもない悲鳴が聞こえた。

何事かと思い、玄関を出て600号室のベルを鳴らした。


「ピン『ダズゲデェ』」


ベルが鳴り終える前に、死にそうな顔をした雨音が飛び出してきた。


「うっわ…。何があったんだよ」


雨音が指をさした方向にはあられもない姿をしたGの姿があった。

『我が人生に悔い無し』

もちろん人間の心以外は読めないが、そう言っている気がした。

僕がかわいそうなGの残骸を片付けいると、雨音はシャワーで足を洗っていた。

どうやら踏みつけたらしい。

僕は吹き出した。初めてこんなに笑った。

彼女は足を洗いながらこっちを見て

頬を膨らませていた。

次の日、僕のスリッパが盗まれていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る