空気って必要なんだよ

第1話

君は言った。「私は誰からも見えてない。空気のような存在なの。」

冷たい視線を僕に突き刺し誰に言うでもなく呼吸をするかのように吐き捨てた。

なあ、知っているかい?空気がないとね人は生きていけないんだよ。

僕にとって君は_________。




____21年目の朝が来た。別に特別なことではない。この歳になって喜ぶことでもない。誕生日だからといって仕事が休み…な訳もない。社会人になるとはそういうことだ。

俺の名前は高山優羽。人の気持ちには敏感な方で困っている人がいたらほっとけないタイプだ。この性格のせいで損をしたこともある。人付き合いも嫌になったことがあった…。だがそんな俺にも夢がある。

昔から料理を作ることが好きだった。喜ぶ人の顔を見るのが好きで、それが俺の料理を食べてくれた時だったらどんな事よりも幸せを感じた。


ただそれだけで追いかけていた夢。いざ叶えてみたら俺が夢見ていた世界とは全く違くて。厳しいのはわかっていたが、俺の1番の目的はお客様の笑顔。だが、厨房からはお客様の顔は見えない。



ただ、ホールスタッフが取ってきたオーダーをこなすだけの日々。

そこに何の楽しみがあるのだろう。

そんなことを考えながら、毎日同じ時間に家を出る。


今日も憂鬱な1日の始まりだ。

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