町田大樹とゲームの誘惑

 ある日、うちで大樹だいきとゲームをしていたときのことだ。


翔平しょうへいは、テンテンドーズウィッチは買わないのか?」

「う~ん。欲しいけど、お金がないから……」

「あ~あもったいねーの。『オクトパトゥーン』は最高に面白いってのに」


 最近自分が新しいゲーム機を買ったからって、これ見よがしにズウィッチを勧める大樹。そりゃ、俺だって欲しいけど……。


「ていうか、バイトを始めたんだからゲーム機買う金くらいあるだろ?」

「バイト代はインターンの交通費に使うってこと、知ってて言ってるでしょ?」

「バーカ。遊ぶ時間は今しかないんだぞ! オンライン対戦が主のゲームだから、今買わねぇと遊ぶチャンスはもうないと言ってもいい! これは買うしかねぇだろ!」

「うっ。言われてみれば確かに……」


 口車に乗せようとしてくる大樹。そう言われると、無性に欲しくなっちゃうじゃないか! どうしよう。買ってしまおうか……。う~ん。

 けど……、


「ダメだダメだ! いくらそんな誘惑してきても、俺は買わないぞ! せめてインターンが無事に終わるまでは買わない!」

「ちっ、失敗したか。せっかく遊べると思ったのによ」

「バイト代がたまってまだ欲しかったら、その時は買うことにするよ」


 そうだ! 十月には交通費も口座に戻ってくるし、そしたらバイト代と合わせて買えるもんね!


「ま、その時にはすでに『オクトパトゥーン』の流行は終わっているけどな」

「……」

「ついでに年明けには『モンスター狩人』が発売するから、オレはそっちにハマってると思うけどな」

「……」

「『モンスター狩人』はPN4だから、ズウィッチじゃプレイできないけどな」

「…………」


 今度はズウィッチを買うかPN4を買うかで迷う俺なのであった。

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