第7話 俺とミチルちゃん

「兄貴、シャツ持ってきたぜ。そのシャツだけどさ、昨日、美玲が一滴残らず舐めとったらしいぜ。」

ミチルが、またノックもなしに俺の部屋に入ってくる。今日は、何も見えないらしい。

「ああ、ありがとな、ミチル…。美玲が俺のシャツを舐めた?」

俺は、思わず大声をだしてしまった。

「兄貴、冗談に決まっているだろ。」

ミチルにはっきり言われ、いつも以上にショックが大きい。どこかで、嘘だと見抜いていたはずなのに。

「そういうことだから。」

ミチルは、踵を返そうとする。

「待て、話がある。」

ミチルは、少し目を見開いている。そんなに驚くことだろうか?


あれから、何分経ったろうか。話があったはずなのに、言葉が出てこない。きっと、ミチルだって、用事があるはずなのに。

「何?早くしてくれる?」

完全に怒っている。相手をにらみ、冷たく言い放つ。これは、女の子特有の怒り方だ。もう待たせては、いけない。

「俺、今、小説書いてて、どうしても、ミチルが、必要なんだ。それでなんだけど、女物の下着に着替えてほしいんだ。」


しばしの沈黙。流れていく時間。

「別にいいぜ。」

ミチルは、ためらいもなく、ブラを脱ぐ。女の子なのに。ミチルの体をまじまじと見る機会がないからわからなかったが、デコルテがきれいである。胸もだいたい、美玲と同じくらい。この胸が先程まで潰されていたと思うと、もったいない。俺は、開脚椅子でミチルのそばにより、品定めをする。欲情しそうなほどに。


「いつまで見ているんだ」

ミチルの顔が、薄ピンクに染まっている。俺は、ミチルの裸体に見とれてしまった。もしかしたら、美玲よりもきれいなのかもしれない。そんな期待をしながら。だが、いつまでも、ミチルを裸体にしておくわけにはいかない。俺は、パソコンを凝視するが、ネタが続かない

「初めに、女の子になって。」

「なんでだよ。それにブラないから。」

まあ、そう言われても無理はない。でも俺は持っている。

「そこにある。」

俺は、クローゼットの方による。開けると、ひとつだけ、部屋にそぐわないものが。

ハンガーにかかっている、女物の下着。俺は、それを取り出す。

「なんで持ってるの?誰の?美玲が知ったら、大変だよ。」

俺は、その下着をミチルに渡す。

「これは、元カノの。」

ミチルは、俺を、腫れ物に触るかのように、見てくる。この下着は、一年の時付き合っていた彼女を、家に招いて、そこでなぜか、脱ぎ始めて…。だが、俺は、元カノの純潔を奪っていない。

「へえー。彼女いたんだ。それにしても兄貴が書いてる小説ってエロ小説だよね。美玲に見られたら、大変。」


ミチルは、少し笑い、ブラを着る。今気づいたが、女のブラの着方って結構エロい。この乳が、下になる瞬間、触って見たい。俺は、そっと手を伸ばす。

「兄さん、早くしてね。私恥ずかしいから。」

ミチルの顔が、リンゴのように赤い。そして、俺は、久しぶりにミチルの可愛らしい声を聞いた。二重人格でも持っているのか、と間違えるほどの変わりようである。俺は、手を引っ込めるのを諦めきれず、ブラの中に手を入れる。柔らかい感触。少しとがった、乳首。

「ひゃっ。に、兄さんもうやめて。早く服を。」

俺は、このまま触り続けていたかったが、なにかが流れてきたのを感じ、机に戻った。


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