異世界生活のすすめ

☆現世界【アラヨ】


 イチジのいた世界。幾たびも滅びの歴史を繰り返すも、その度に溢れる生命の力で再生を果たしてきた不屈の世界。


☆現人【アラビト】


 現世界で生きるもののこと。本来は生命を持つもの全般を指していたが、時代と共に『ヒト種』だけを限定して言うようになった。


★幻世界【トコヨ】


 イチジが連れてこられた世界。アルルの生きる世界。

 創世の七人の手によって、意味も指向性もない単なるエネルギー体でしかなかった魔素を注いで作られた、現世界とは別のもう一つの世界。

 人も物も、あらゆるものが魔素で構成されている。

 互いの世界は重なり合って存在しているが、互いに視覚も知覚もできず、干渉もできない。

 現人・幻人の中でも稀に存在を感知できるものもあらわれる(いわゆる霊感)。

 しかし、絶対尊守されるべき世界法則の強制力によって、互いに深く関わることは決して許されず、もしもそれを侵す者があらわれた場合、双方の世界から存在自体を抹消されてしまう。

 大きさは現世界の四分の一ほどで、文明レベルも四世紀ほど遅れている。

 魔素の性質上、言語や文化は現世界に由来するものばかりだが、複雑に混じりあい、独自の進化を続けている。


★幻人【トコビト】


 幻世界で生きるものの中でも『ヒト種』にくくられる者たちのことを指す。

 外見も体のつくりも現人とほぼ同じ。

 ただ、成り立ちの根源が魔素によって生み出されたものであるので、現人とは違い、体内で魔素を魔力というエネルギーに変換することができる。


★魔物【マモノ】


 幻世界で生きるものの中でも異質な存在。

 幻人と同じく魔素から生み出されたものではあるが、その中でも負の思念の割合が多い魔素によって構築されてしまった存在。

 例外も多々あるが、基本的には凶暴性・好戦性に特化し、幻人にとって害悪となるもの。

 姿形はさまざまで、ヒト型・獣型・その他を総称して『魔の物』、魔物と呼ぶ。

 幻世界の歴史は、幻人とこの魔物や魔獣との世界の覇権争い、戦いの歴史であると言い換えても過言ではない。

 

★魔素【マソ】


 古代より現人(ここでは本来の意味としての)が抱いてきた想像・妄想・創作・願望・言葉などの思念が肉体を抜け、目には見えない力の塊となったもの。現人一つから生涯で生み出される魔素の量は微々たるものではあるが、長い歴史と生命の数だけ増え続け、やがては飽和状態となった。

 許容量を超えた魔素が侵食し、各地で異常気象や天変地異を引き起こしたことにより現世界は崩壊寸前まで追い込まれた。

 そこで魔素の存在にきづいた者たち(やがて創世の七人と呼ばれる男女)が死力を尽くし、純粋無垢なエネルギー体・魔素に方向性を与え、あらたな世界という器に流し込み、幻世界をつくることで現世界の崩壊を防いだ。

 今でも魔素は生成され続けている。しかし、はけ口として幻世界があり続ける限り、現世界の崩壊はないと考えられている。

 幻世界の住人たちはこれを消費することで生命活動を維持するわけだが、形を持たないものが空気のように無尽蔵ともよべるだけ漂っていて、呼吸感覚で自然と体内に取り込んでいる。

 

★魔力【マリョク】


 魔素を原油とした場合、そこから精製されるガソリンや灯油といった燃料が魔力である。

 幻人や魔物の体内には取り込んだ魔素を最低限のエネルギーへと変換する器官がある。

 それを更に練り上げ、研磨し、流用可能な力へと変換したものが魔力だ。

 その用途は様々で、都市機能のインフラや医療技術の発展にも大きく寄与している。

 もちろん対人・対魔物用の武力としての役割も果たし、魔力を応用した武器や物理法則にのっとる事象の具現化である魔術の発動にも使われる。

 魔力を変換する器官を『魔力炉』、血管や神経に沿うように這った魔力の通り道を『魔力路』と呼ぶ。

 一般的にこれらの器官の大きさや質は各々で違い、その多くは体の維持に使う分だけしか精製はできない。

 従って魔力を体の外に出して干渉できるほどの資質・量を持ったものは極々、稀である。

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