ベランダの絵描き

あね

プロローグ

01.ノーマルな大人



AM6:40

目覚まし時計とスマホのアラームが同時に鳴り出す。

昨晩は飲み過ぎた。頭が少しだけ痛い。


僕は2つの騒音の元を止め、再び布団に潜り込んだ。あと300分だけこうしていたい。できることなら休みたい。

そんなことを考えながらもなんとか5分で自分を奮い立たせ、支度に取りかかる。歯を磨き顔を洗ってヒゲを剃り、寝癖を直し着替えたところでパンが焼けた。

ニュースを見ながら朝食を済ませ、一服してから家を出る。

毎日毎日、この平凡な日常。

さすがに飽き飽きしてはいるが、飽きたからと言って仕事を辞めれるほど裕福でもなく、転職する行動力もない。そもそも転職する気もない。

毎日無気力に時間を使い、帰ってお酒を飲むことの繰り返し。変わることのない、平凡な日常。

特別な才能や趣味も無い自分には、特に不自由のない今の生活にむしろ感謝するべきだと思う。日常万歳。


今日もありがたく日常を謳歌する、はずだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る