祝!17000PV突破! 第45話 セキュリティホール

 テーマパークは盛況だった。


 あちこちのライドコースターから聞こえてくる歓声、絶叫。


 道行く人々の楽しそうな会話。


「よかったな。ルナ」


「ええ。入りは上々ね」


 このまま順調にいけばよいのだが。


 しかし。


 どぉおん!


 ライドコースターの一角で爆発が起こる。


「なんだ!?」


「行きましょう!」


 俺たちは駆け出す。


 現場はかなり悲惨な状況になっていた。


 あちこちに人間や宇宙人の肉片が散らばっている。


「響、二人で回復魔法をかけるわよ!」


「わかった」


 そしてそれを遠巻きに見ている青年が、


「ふふふ。われらゲス徒に逆らうなど、無意味な事」


 嘲笑する。


「ーーーなんて幻覚を見せているわ」


「ほんとに引っ掛かったな」


 ライドコースターの一角、虚空を見つめる一人の青年をルナと響が囲む。


「わざとセキュリティーホールを残し、何重にも隠ぺいを施しておいたから必ず引っかかると思ったわ。この世界を衰退させる最も効果的なこのタイミングで」


「で、どうすんだ?」


 俺は尋ねる。


「こうするのよーーー繋がりよ!」


 青年の頭から一本のひもが現れ、虚空に繋がる。


「扉よ!」


 ルナの叫びと共に紐の先に扉が現れる。


「これでゲス徒の中継基地に乗り込めるわ」


「ここはどうする?」


「ラーナとユミに任せましょう。大丈夫、幻覚はあと3時間は持つわ」


 俺とルナは扉に飛び込む。


 扉の中にあったのは、会議室ほどの広さの空間だった。


 デスクが並び、PCの前に老若男女が並んで座っていた。


「見た目は人間と変わらないな」


 俺は呟く。


「見た目で判断しない」


 さてと、とルナは腰を上げ、


「創世開発機構です!動かずに両手を上げなさい!」


 数名のゲス徒が光線銃を掲げる。すげー、SFみたいだ。


 ルナは構わず、


「衝撃よ!」


 部屋の中に無茶苦茶に衝撃が駆け巡る。

 二十数名からなるゲス徒がもみくちゃになる。

 両手を上げさせる意味はあったのか。


 衝撃が治まったとき、机の瓦礫と絡まったゲス徒の遺骸だけがあった。


 この女。容赦がない。


「随分あっけなく片付いたな」


「戦闘タイプのゲス徒がいなかったからね。でも増援として来るだろうからその前に片付けるわよ」


 何を?と尋ねる前にすたすたとルナが部屋の奥に行く。


 そこには巨大な樹状のスーパーコンピューターがあった。


「これ作るのに相当な労力とお金と時間がいるのよねー」


 ルナはにんまりと笑う。


 その時、背後の入り口から強化スーツを着たゲス徒らしき集団が入ってきた。


 ルナはそちらを見ずに、


「思ったより早いわね。響、お願い。魔法抵抗あると思うから気を付けて」


「了解」


 響はゲス徒に魔法をぶつける。


「爆発よ!」


 爆発魔法が炸裂する!


 しかし強化スーツを着たゲス徒にほとんど傷はない。


 ゲス徒の腕からレーザーが放たれる!


 響は間一髪で回避する。


「これなら!」


 響はレーザーをかいくぐり、ゲス徒の懐に飛び込む!


 ゲス徒の腹に手を当て、


「風刃よ!」


 ゼロ距離で魔法を炸裂させる。


 ゲス徒は内部からバラバラになった。


 同じように懐に飛び込んで次々にゲス徒を駆逐していく。


 一方、ルナはスーパーコンピュータに魔法を放っていた。


「衝撃よ!」


 衝撃に、樹状のスーパーコンピューターがズタズタになる。


 ルナはぱんぱん、と手をはたき、


「これ以上増援が来る前に、撤退するわよ」


 響に告げる。


 ーーーテーマパークーーー


 光の扉の前に響とルナが現れる。


「見張りご苦労様」


 ユミとラーナにぐるぐる巻きに拘束されたゲス徒を連れて行かせる。


 響は思っていたことをルナに尋ねる。


「本拠地は叩かなくてよかったのか?」


「前に言ったでしょ?奴らの本拠地はこの宇宙の外にあるって」


「そういえば・・・じゃあ何も出来ないのか?」


 ルナは首を横に振り、


「創世開発機構もそのうち対策を立てるわ。心配いらないって」


 ルナは手を振り、


「それより今日はお祝いよ!ぱーっとパーティー開きましょ!」


 響は苦笑し、ルナについていく。

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