game08 狙う側から狙われる側へ

「茉凜さんは、人狼は関口さんで間違いないと言いたいんだよね?じゃあ、仮に関口さんを人狼で仮定して、神代くんが、庇って出てきたとしたら、2人狼露出するし、僕なら絶対潜伏して、夜に占い師を噛むと思うけど?それを破綻させられるだけの理由はある?」

 私は動揺していた。

 そう説明されると私はたしかにその通りでしかなく、言い返す言葉さえ見つからなかった。

 そんな中で、私は関口くんを吊るすことに精を尽くしていたのに、なぜか標的は私が的になっていた。

 佐伯さんが続いて私に向かって言った。

「今最も疑われてるのはあなただと言うことに自覚はあるんですか?」

 私は首を縦に振る。

「はい………」

 このママでは吊るされてしまう、何としても回避しなきゃ吊るされる。

 そんな動揺ばかりだった。

 とにかく私は怯えることくらいしか出来なかった。

 ここで私のひとつの判断ミスで、市民陣営の皆が地下牢に振り落とされてしまうからだ。

「わ、私は庇って……」

 そう言ってふと、心美さんを見ると、心美さんは私と目を合わせようとはしなかった。

 これはハメられたと、そう思った瞬間だった。

 その後、私は追い詰められるばかりで何ひとつ抵抗出来ないまま、その場はお開きになった。

 私は、慌てて心美さんの方へ向かった。

「あの、助けてください。私このままでは死んでしまいます。市民勝てなくなります」

 涙を流しながら、私は心美さんに訴えた。

「ねぇ、小娘?私はあなたと組んだ覚えはないし、あなたが狩られても知らない。好きにやれば?」

 そう言って私の手を振り払い、会場を出ていった。

 私はただひとり、会場に取り残されて行先は地下牢だと嘆く時間もないまま、目が霞んだ。

 投票時間まで自由行動と言われても、何ひとつこの先を分かっていて楽しめる者はいない。

 私は吊るされる時間までひとり寂しく昼を取っていた。

 すると、私の元に神代さんが寄ってきた。

「ねぇ、茉凜さんは、今日の投票あのギャル女七瀬に入れてくれね?ギャル女にもそう伝えてきた」

 それだけ告げると、その場を後にした。

 どういうことだろうか、七瀬さんが人狼だって分かったのかな、とも思った。

 しかし、人狼だと思った相手にわさわざ今日吊るすことを報告しないと思った。

 神代さんにはなにか飛んでもないものが見えてるのだろうか。

 そして、その日の投票時間が訪れる。

 私は神代さんが言っていたあの投票について、なにか引っかかる部分もあり、私は言われた通りにすればいいのかなと思いつめていた。

 そして、その時は訪れた。

「それでは、投票タイムになりました。最も疑わしいものに投票してください。3.2.1」

 その合図でいっせーに指を指した。

 すると、その結果が飛んでもないことになっていた。

「音羽心美様は関口航海様に1票、七瀬桐枝様は佐伯紀一様に1票、他の人が全員一致で七瀬桐枝様が吊り対象となりましたので、監禁されます」

 私はその結果に驚きだった。

 私が死ぬと思っていたのに死ななかった。

 この結果について、いくつもの不思議があり、七瀬さんが吊るされることになったのだろう。

 その投票を終えると、再び恐ろしい夜がやってきた。

「再び恐ろしい夜がやってきます。役職の皆様は夜のアクションを行ってください。それでは皆様おやすみなさい」

 私たちは残り6人。

 まだ人狼が2人いた場合益々危うくなってくる。

 なぜなら、実質人狼を処刑できなければ次の日が最後の日になるからだ。

 私はとりあえず自室に戻り、夜食を食べようとしていたその時だ。

 コンコン コンコン

 誰かが私の部屋をノックする。

「はーい、誰ですか?」

「神代だ、開けてくれ!」

 私はドアを開けた。

 少し慌てた表情で部屋の中を隅々まで見て、いきなりクローゼットへ走り込む。

「いや、そこは下着が散乱してて…・」

「時間が無いからちゃんと聞いていてくれ、今から音羽がここに来るはずだ、私は盗み聞きをしてるから、呉々も俺がいると奴に知られないように頼む」

 そう言うと、本気でクローゼットを開けて、下着を鷲掴みにして、奥へ入っていった。

 すると予言が的中したのか、ノック音がなる。

 コンコン コンコン

 私は恐る恐る開けると、すごい険しい顔をした心美さんが立っていた。

 そして、開けたその時、ドアを掴んで思いっきり開けて、私の肩を掴みベッドに押し倒してきた。

 私は怖くて目を瞑った。

「あの時、なぜ関口くんに投票しなかった?」

 私は目を逸らして、クローゼットの方を見てしまった。

 ちらちらどうしてもクローゼットの方に目線が向いてしまい、心美さんもクローゼットの方を見た。

 私はこの時やばいと思った。

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