二の火は無邪気だった。

「アルはどこいった。なぜ来ていない!」


ウノがその場に集まる他の五体に告げる。ドライは容れ物からひとつずつ石を取り出し検分している。ヨンは古ぼけた本を相当な近さで読んでいる。チルは自分の武器を拭いている。


「どうせ、あのクソガキのことだ。人間でも漁ってんじゃねぇか?」


筋トレならぬハサミトレをしながらセブンが答えた。


「あの、このチームで最年少なのはボクで、そうなるとクソガキ、と言うのは語弊があると思うんですけど……」


オドオドしつつも、サンクが主張する。


「あぁ?クソガキにゃ歳なんて関係ねぇさ。チームとしての仕事をするか、しないかの違いだ。おめぇさんはしてる。あのクソガキはしてない。そういうことだ」


「は、はぁ」


「お前はちゃんと集合してるからな。間違いなくアルよりは良い。……もう待ってもられないから始めるぞ」


ウノが宣言すると、チームは山頂から5メートル程の高さまで飛び、円になってホバリングした。報告会のフォーメーションである。


「まずはドライ、収集はどうだ」


「鉄鉱石と、カロンに使えそうな石と、見た感じ石ころだけどなんか材質が違う石。いじょー」


「え、カロン!?マジで!?」


「どうしたサンク」


「だってカロンですよね!?最重要プランのカロンですよね!?」


「ドライは、カロン石の為にここまで来ているよ」


「そんなことしてたのドライ!?」


新入りのサンクには驚きであった。寄せ集め臭のするこのチームが、母星の最重要プランに関わっている事が。てっきり石回収のためのチームがあると思っていたのだ。


「そうだぞ。ドライは石ころの草分け的存在だぞ」


「……なんでウノが自慢げなのさ」


「サンク、敬語使ってたのはどした?」


ヨンが指摘する。


「あー、あまりの驚きに飛んじゃってました!すみません!」


「ドライは、別に気にしない。なんなら素で喋ればいいのに」


「いえ、みなさん先輩ですので!そういう訳には!」


「……そう。ウノ、戻っていい?いまイイとこ当たってんの」


「おう、行ってこい稼ぎ頭」


ドライがフォーメーションから離れ、山を下りていく。麓の採石場へ向かったのだろう。


「で、ヨン。お前はどうだ」


「解読出来たのが三分の一ってとこ。本が古いと難儀だとわかった」


「その本読み始めてどのくらいだ?」


「こっちの時間で、三日か四日。だけど文法とか言い回しが分かってきたから、あとはサクサク」


「なぁ、どんな内容なんだソイツはよ」


「セブンから、そんな質問を貰えるとわね」


「この前は、何も出来んかったからな。今回もそれじゃあ、何というか」


「確かにな!セブンには警戒を任せっぱなしだったからなぁ。俺も教えてほしい」


「前は氷だったけど、今回はどんなの?炎?それとも雷?あ、地震とかもあるのかな」


「チルまで興味を持つとは。前回を成功させて良かったよホント。そういうの、そういうのが欲しかったんだ!母星じゃ誰も理解してくれなかったからな!」


ヨンは非常に嬉しげに続ける。


「この本に書かれているのはね―――」

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