第12話離婚

母が家に戻ってきて父と離婚した。私と妹たちは母と出て行くことになった。母からは父との結婚生活がどんなに大変だったのか嫌と言うほど聞かされた。お前たちの為に今まで離婚を我慢していたけど限界だと。

嘘付け。単に新しい男が出来たかなんかだろ。

父とのセックスの話まで聞かされた。母が言うには性的暴力だと。父はお金がなくなったら女なんだから私たちを売ればいいと言っていたとも聞いた。そんな話は聞きたくなかった。

父は優しかった。あとから気が付いたのは優しいけれども自分に一番優しいというか甘く、そのためならば手段を選ばない人だった。

母と妹たちの生活はそれでもそんなに悪いものではなかった。日常的な父と母の怒鳴りあいはなかったし、母は昼も夜も働いて家にいなかったから。汚い平屋の狭い家だったけれど、生活は困窮する事はなかった。母はブランドモノも買っていたし、旅行にも行った。ただ、時々夜の仕事のお客さんとみんなで旅行に行くのは吐き気がした。そう言えば離婚前に突然知らないおじさんと母にスキーに連れて行ってもらったことがあった。多分母がフられた人ってあの人だったんだろうな。妙に色目を使っていたのが子どもながらにも分かった。そういう母はいつもより大嫌いだったし気持ち悪かった。

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