外道転生

チンプンカン・プカン

プロローグ

第1話 魔神


 むかしむかし、まだこの世界に国というものが出来ていない頃のこと。


 地上には様々な種族がおり、みな争う事無く、協力しながら仲良く暮らしていました。


 しかし、あるとき地上の平和を良く思わない一人の悪魔が地上に降り立つと、悪魔は近くにいた種族にささやきます。

 

「他の種族は、お前たちのことを良く思っていない。いずれお前達を滅ぼす為に戦争をおこすであろう」


 そう言い悪魔は、身をまもるためにと、彼らに邪悪な力を与えました。


 悪魔はさらに、他の種族のもとへ向かうと、同じようにささやき、邪悪な力を与えていきました。


 やがて、全ての種族にささやき終えた頃。

 始めにささやかれた種族が恐怖にかられ、他の種族に対し戦争を起こしました。


 攻め込まれた種族たちも負けじと武器を取って反撃し、その光景を見た他の種族達は明日は我が身かもしれぬとおののき、後手に回らぬようにと進んで武器を取って他の種族を攻めました。

 やがて、それは秋の麦畑に火がまわるかのような勢いで、地上はあまねく戦火に包まれました。


 どこへ行っても争いのない場所は見当たらず、森は焼かれ大地は血に染まりました。



 そんな地上の光景に胸を痛めた天上の神様は、地上の戦争を終わらすため、数人の勇者たちを地上につかわしました。


 勇者たちは各地の戦争をいさめ、戦争の原因に悪魔がいることを教えていきました。


 戦争にすっかりつかれていた種族たちは争いをやめ、そして全ての元凶である悪魔を倒すために団結するようになりました。


 勇者達と地上の種族たちによる、悪魔を倒す戦いは長く長く続きました。戦争で生まれた悲しみや怒りを糧にした悪魔の力は、とても強大だったからです。


 戦いの中、たくさんの仲間たちが死んでいきました。



 しかし、いちど団結した地上の種族たちの前には、悪魔もついに追いつめられました。



 追い詰められた悪魔はこう言いました。



 「私が打ち倒されこの世に平和が訪れようとも、それは永遠には続かない。やがて、東の空より輝く星が落ちる時、私の魂は再び魔神となって蘇り、王を民とし民を王とすべく、世界に再び戦乱を起こすであろう」



 そう言い残すと、悪魔は勇者の一撃のもと霧となって消え去りました。

 


 悪魔のいなくなった地上には再び平和が訪れました。



 勇者たちは悪魔の復活を防ぐため、種族達をまとめて大きな国をつくり、その国の王となって代々民をひきいました。



 勇者の作ったその国は、のちのガレリア王国となりましたとさ。



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