セーバルへーん

第18話 物静かセーバル

「………………」


それはガイドさんに帽子をプレゼントして翌日の事であった。

セーバルは特にやることが無く、友達とも会わなかったのでフレンズ達と野生動物達が自由に暮らすこの場所で、ベンチにちょこんと座っていた。


「………………」


暖かい陽射しが彼女の身体中にまとわりついてあっためる。セーバルは心地良さを感じてボーッとして、目を閉じ、眠りにつこうとしたその時。

セーバルは足に温かく、モコモコとした何かを感じた。

少し目を開けてチラリと見ると、そこには白く、黄色い目をもって膝に座り込んだ猫がいた。うつ伏せになり、手は丸めて隠してある。


「…………にゃー」


セーバルがそう鳴き真似をしてみると、猫は反応してニャー、と一声するとそのまま目をゆっくりと閉じた。

セーバルはなんとなく、目の前のこのモコモコとした猫を撫でたくなり、頭にてを置いてみる。猫は特に反応せず、その体勢を保つ。

そこで彼女は実際に手を動かして撫でてみた。

初めは小さく、頭の上を擦るように、次第に慣れていき、その手は頭から尻尾の付け根の部分までスラリと移動するようになっていた。

そのまま長い時間撫でていると、猫はゴロゴロと、エンジンのように喉を鳴らし始めた。

セーバルは猫の喉も撫でてみる。すると今度は突然猫は振り向いて、そのままセーバルの手に頭を擦り付け始めた。


「いいこ、いいこ」


ゴロゴロと喉を震わせながら、にゃーんと鳴いた猫は十分にセーバルの手を堪能すると、その場で周り、体を円の形にぐるりと回して寝始めた。

猫の感触はスカートに阻まれたためにもふもふとした感触はセーバルに伝わらない。しかし時たまぶらりと下げられた尻尾が足にふわりと触れると、可愛らしい猫の感触を感じることが出来る。

セーバルは感触を楽しむために猫の上に両手を置くと、そのまま目を閉じて眠りにつき始めた。

目の前の黒がぼやけ、意識がスーッと目の前の黒に吸い取られて行くような心地の良い感覚の中で、セーバルは猫を撫でているだけでは満足できないと、思案したのであった。






少し音が気になって、目を開いてみると足に寒さを感じた。あの猫はもう居ない。

その事実にセーバルは寂しさを感じた。

遠くの獣道を見てみると見物しに来た人達はバスを使ったり、或いはジープで、或いは徒歩で、帰路に着いていた。

空は燃えているように、しかしその色は悲壮感と美しさを感じさせるロウソクの燈火のような儚い、橙色に染まっている。

セーバルは立ち上がると、自分の縄張りの方へと歩いて行った。

心に満足できないとモヤモヤを残しながら











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