第12話 おしゃべり!

「うわっ、びっくりするじゃん!」


「なるほど、お前達じゃったか、前回は何も持ってこないという無礼を働いたが今回は違うじゃろ?」


「まさか……スザクの読みが当たるなんて……」


「恐れ入ったかセイリュウ!これが我の力よ!」


自由に歩き回れない、と言う割にはとても元気なスザク。サーバルは質問してみた。


「力がほとんど無いんでしょ?そんなに騒いで大丈夫なの?」


「騒ぐ程度なら問題はない、安心せい。それよりも…なにを持ってきた?食い物か?飾りか?なんでもいい!くれ!」


「どうしてそんなに欲しがるの?」


「暇なのじゃ、ここでやる事といえばテレビを見たりゲームをしたり…全く体を動かせないのじゃ!」


遂にはベッドの上でじたばたし始めたのでサーバルは土産を取り出して渡した。


「はい!みんなで分けてね!」


「これはまんじゅうか!良くやった!我はとても嬉しいぞ」


スザクは満面の笑みで包装を外し、中身のまんじゅうを食べ始めた。


「もぐもぐ……ごくんっ、ふぅ、美味い!病院の飯とはえらい違いじゃ。さて、褒美をやろう!なにが欲しいか言ってみよ!」


「それじゃあ、スザクの羽根を分けてくれないかな?」


「ああ、その程度、お安い御用じゃ!ほれ」


ブチっ、クジャクが見たら発狂しそうな事をさらりと行ったスザクは一枚の羽根をサーバルに渡した。


「わぁ…ありがとう!とっても綺麗だね!」


「当然じゃ、我の羽根なんじゃからな!して、なにに使うのじゃ?」


「ガイドさんの帽子に付けるんだ!こうやって……ん……うぅ……、できないよ」


「私に任せて」


ギンギツネが帽子を受け取ると容易く羽根をつけた。本来の羽根とはかなり違う見た目だが、とても綺麗だ。


「やった…!次はクジャクだね!」


「なるほどのぅ…ふむ、なかなか良いではないか。他に欲しいものはあるか?」


「ないよ!ありがとう!」


と、サーバルが言おうとしたがすぐにカラカルが被せて尋ねた。


「クジャクがどこにいるか知ってるかしら?」


「クジャクなら昨日ぐらいに見舞いに来てくれたぞ。ほれ、これがその時の土産じゃ」


そう言って取り出したのは櫛だった。桜の形に彫られた模様がある。


「恐らくまだ近くに居るはずじゃ、聞き込みをしてみてはどうじゃ?」


「分かったわ。ありがとう!」


「良い良い、こっちも良いものを貰ったからな!」


「……………」


「?、そう言えばセイリュウずっと黙ってるけどどうしたの?」


サーバルが質問するとセイリュウはハッと意識が戻ったように顔を上げた。


「……膨大な力を封印に費やしたせいか、たまに向こうの景色が見えるわね。ついさっきフレンズの姿を見たところよ」


「え!なにそれすごい。どんなフレンズがいたの!?」


ルルが興奮のあまり飛び跳ねて何を見たのか知りたがる。しかし


「残念だったわね、分からないわ。」


「なんだぁ…」


どうやらそのフレンズの正体は掴めなかったようだ。


「異変を解決するまで待ちなさい。」


「ガックシ…」


「またあそこに戻る事は出来ますの?」


シロサイが問いかけるとそれにセイリュウは希望のある答えを返した。


「ええ、守護獣全員が力を合わせれば出来るはずよ。」


「じゃ、その時までうんと遊ぼう!」


「そうだね!」


「それじゃあそろそろ私たち行くね!」


「うむ、次来る時も土産を忘れるでないぞ?」


「はーい!」


こうして一行は部屋を出て行った。


………と、思いきや


「あ、早く力が戻るように私が歌っておくわね。」


「!?、よ、よせ!我ならこの通り、だいじょ…」


そして、病室は地獄と化した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る