第5話 ようやく合流!

「やっと逃げ切ったー!」


 サーバルが大きくうみゃっと伸びをする。


「す、凄いですサーバルさんにセーバルさん!あんなに簡単に飛び降りるなんて!」


「えへへー、どう?フレンズってすごいでしょ!」


「はい!」


「そういえばサーバル、その子だれ?」


「迷子になっちゃったんだって。だから手伝ってるの!」


「ふーん、じゃあ迷子センターに行かないと。」


「そうだね!でもみんなは大丈夫かなー?」


「それなら、アレ」


 セーバルが上に指を指す。

 サーバルがそれを追って見るとそこには階段があり、丁度カラカル達が駆け下りて来ているところだった。


「居た!サーバル!今まで何やってたのよ!」


「か、カラカル…えーっと、えーっと、…ひ、人混みのせいで迷っちゃったんだー。」


「うそ、ホントは猫じゃらしにつられた。」


「セーバル!?」


「嘘は良くないって、ガイドさんが言ってた。」


「へー?そんな事やってたのねサーバル。まったくほんとかわ…、おっちょこちょいなんだから。」


「うー、うわーん!知られたくなかったのにーっ!」


「さ、サーバルさん…、わ、私はかっこいいと思いますよ!サーバルさん!」


「ん?そういえばその子はどうしたの?サーバル。」


「うぅ…、この子はね、迷子になっちゃったらしいんだ、だから今一緒にいるんだよ!」


「へー、なら迷子センターに行きましょうか。ほら、付いておいでー。」


 カラカルが屈んで笑顔で少女に手を伸ばす。


「うわっ、カラカルが優しいとなんか違う。」


「なによ、私だってサーバルじゃなきゃ優しくするわ。」


「なんで私だけ!」


「………あっ!わかった!カラカルはサーバルの事が好きなんでしょ?」


 ルルが笑顔で言い放ったその言葉はカラカルを大きく驚かせた。


「にゃ、にゃにをー!?」


「この前見た本に書いてあったんだけど、人って好きな子をいじめちゃうんだって!」


「それ男の人の場合でしょ、私はそんなんじゃないわよ。」


「あれー?うーん、じゃあなんでサーバルにだけ?」


「そ、それは…。」


「ま、まさかカラカル私のこと嫌いなの!?」


「ち、違うわよ!」


 サーバルが相当ショックを受けた顔をするとカラカルはすぐにそれを否定する。


「………〜(チャンス、大義名分は私の元にある。)」


「トキ様、少し待ってくださいませ。私が説得しますわ。ですからその歌おうとして開けた口を閉じてくださいませ。」


「そんな、せっかく歌えるチャンスなのに。」


「あとで私が聞いてあげるわ。(耳栓つけながらだけど。)」


「ほんと!?ありがとうギンギツネ!」


「さて、みなさん先ずはこの子を親の元へ帰すべきですわ。その問答はその後に。」


「そ、そうよ!二人共!先ずはこの子を帰すべきだわ。ね!早く親の元に帰りたいでしょ?」


「え?えーっと〜(顔を赤くしてるカラカルさんをもっと見たいけど…。)」


「はい、帰りたいです。(やっぱり早く会いたい。)」


「わかった!それじゃあ迷子センターに行こう!……カラカル、後でちゃんと理由を教えてもらうよ!」


「あんたが覚えてたらね。」


「ご、ごめんね!ルルきみのこと気にしないでこんな事しちゃって。」


「い、いえいえ!気にしないでください!」


 こんな風にして一行は歩き始めた。


「そういえばあなた歌は好きかしら?」


「はい!大好きです!」


「ほんと?それじゃあ、私の歌を聴いてみないかしら。」


「ほんとですか!?聴きたいです!」


「むふふ、じゃあさっそく……と、思ったけれど今はダメね。」


「え、えー!どうしてですか?」


「ごめんなさいね、今は公共の場だから。」


「そうですか…。」


「あっ、そうだ、ジャパリパークにはまた来るかしら?」


「はい!またみなさんと遊びたいです!」


「それならきっとまた会えるからその時にまた歌うわ。」


「わかりました!」


 微笑んでいるトキに元気な声を出して少女は返事をした。


「迷子センターに着いたね!それじゃあ親の人を呼ぼう!」


 サーバルが受付の方へ行って話をしようとする。


「すみませーん!迷子でーす!」


「はいよー、それじゃあ名前と年齢を…」


「ふぇ、フェネック!?どうしてここに…。」


「わーお、サーバルだ、偶然だねー。」


 なんとそこにはフェネックが居た。そして後ろから出てきたのはアライさんだった。


「あ!サーバルが迷子なのか?それじゃあこのアライさんに任せるのだ!」


「ちょちょちょちょっと待って!迷子なのは私じゃないよ!」


「ん?それだったらだれが迷子なのだ?」


「あ、なんかみんな揃ってるねー、やっほー。それで、迷子っていうのはそこの子かな?」


「は、はい!」


「よーし、それじゃあこれから簡単な質問をするからね〜。」


「わかりました!」


 フェネックがそう言うと少女に質問を始めた。そして必要な事を聞くとフェネックはアライさんにその情報を教えて、アライさんによるアナウンスがショッピングモール中に響き渡った。


「よしよーし、えらいえらい。よく質問に答えれたねー。すぐ親の人が来るだろうからもう少しの辛抱だよー。ほら。」


 そう言ってフェネックは少女の頭を撫でながら少女の手に飴を握らせた。


「わーっ!、ありがとうございます!」


「なんか随分手馴れてるわね…。」


「まーねー、たまにこういう風なお手伝いをしてるから。」


「へー、どうして?」


「それはご褒美がもらえるからなのだ!」


「なるほどー、セルリアンを倒しに行く時と一緒なんだね!」


「そういうことなのだ!」


 アライさんは元気よく答えた。


「あ、そういえばサーバルさん!あの映画についていろいろ教えてくれませんか?」


「いいよー、それじゃあ何から話そうかなー。」


「サーバル、あんま話を長くしちゃダメよ?」


「はーい!」


サーバルがカラカルに返事をすると話を始めた。

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