小夜時雨

───過去詩モチーフ───


束の間の 儚い夢を偲んでか

闇に溶け込み降る雨は

人知れずむせび泣く乙女に似て

ためらいの指先を濡らす



───現在詩───


雨に濡れそぼる闇は

色濃く沈黙し


束の間の

夢幻こいの行方に

乙女は目尻まなじりを濡らす


躊躇いに震える指先で

儚い夢を爪弾いて


路地裏、喪った純潔に

むせび泣く乙女を濡らす

小夜時雨

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