第37話 オリジン探し2

「あっ、来た。」


「待ちわびたぞ。」


リクさんに案内されて俺たちはゼクトのあるスポーツクラブが見える建物の屋上に集まった。というか勝手に上ってきちゃったけど、大丈夫なのか?


「いやーごめんごめん。それよりも、スティアを持ってる人はどれくらいいた?」


「ふっ。ネヴュラよ、観測結果を伝えよ。」


【…3人。】


ネヴュラは淡々と答えた。


「3人か。アスカ。ノキアにその中にオリジンがいるか調べてもらえないか?」


「わかりました!」


俺はスティアの電源を入れノキアに聞いてみた。


「ノキア。今周りにオリジンはいるか?」


【ふむ。少し待て。】


ノキアは目をつぶり集中している。


【…どうやらここにはいないようだ。最も、スティアの電源が入っていなければわからないがな。】


そういやそうだったな。ネヴュラのスキルでそこら辺までは見えないのかな?そう思ったらネヴュラが


【…全員電源は入っている。】


と言った。どうやらネヴュラの『千里眼せんりがん』は見た景色の拡大までできるようだ。


「どうやらこの場所は世界観の理から外れていたようだ。」


何言ってんだこいつ。


「はずれかぁ。」


「まぁそう簡単にはいかないよね。それじゃあ次の場所に行こうか。」


次に俺たちが向かった場所は…


「えっと、リクさん?ここ、俺の学校なんだけど…」


「あっそうなの?それなら先に僕達がこっちに来てた方が良かったかもね。」


「そうっすね。」


そう。俺たちが向かった場所は、俺がいつも通ってる学校だった。


「学校は人が多いし、オリジンが見つかりやすいと思ってね。さっき行ったスポーツクラブも人が多いからもしかしたらと思ったんだけど…。思ったよりスティアを持ってる人が少なかったからね。」


あーそういう理由でスポーツクラブに行ったのか。


「でももう放課後だし、人も少なくなってるっすよ?」


「まぁまぁ。とりあえず調べてみよう。もしかしたら油断してるかもしてないし。」


油断?どういうことだ?


「まぁいいか。それじゃあノキア。調べてみて。」


俺はスティアの電源を入れてノキアに聞いてみた。っていっても、多分俺が通ってる高校にオリジンはいない。なぜなら俺は昼休みとかにスティアの電源を入れてノキアにオリジンがいないか聞いているからだ。案の定ノキアの返事は俺の予想通り…


【…いたぞ。ここから180メートルほど先にいる。】


ほらね。…ほらね!?えっ!?いた!?うそ!?


「はぁ~。いるもんだね。オリジン。」


「やっぱり油断してたみたいだね。」


そういやリクさんさっきも油断がどうのこうの言っていたな。


「リクさん。油断って何がっすか?」


「ん?ああ、アスカがオリジンを使ってるみたいに、別の人もオリジンを使ってる場合、相手が居場所を察知できる相手だとこっちの居場所がバレちゃうでしょ?だから人が多い授業中や休み時間中はスティアの電源を入れずに、人がいなくなったら入れる人もいるんじゃないかなと思ってね。」


な、なるほど。


「それで?こっから180メートルって何があるの?」


えっと、こっから180メートル先?それってたしか…


「あっ、水泳部。」

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