第13話
数日後、紘之助たちが暮らす里近くのとある山、昼でも暗いその場所に、
「燈吾様、そろそろ私の知人が里へつく頃ですので、迎えに行ってまいります」
振り返った燈吾は、その言葉に一瞬不安そうな表情をした。
それは藤丸といた時とは違うもので、しかし似た感情でもあったが、認めたくなかったのだ。認めてしまえば、藤丸と過ごした日々に対して背を向けたり、忘れてしまう事になるのではないかと思っていた。あれほど愛しかった日々を-
「………すぐ、帰ってきてくれるな?」
「
普段あまり表情を変えない彼が、こういう時には、どれだけ周囲に人がいても優しく
燈吾は、紘之助と出会った日からゆっくりと、時間をかけて自分と接するときの彼の態度が、
すでに馴染み深くなってきた彼の動作にホッとした燈吾は、ゆっくりと
「-えっ!?紘之助さん!!?マジで!?」
「だったら何だ…」
「うわぁ…連絡いただいた時、声高いなとは思ったんですけど…前世、そんな可愛らしい見た目だったんですね」
雰囲気は変わらないが、アルフォンソが見慣れている紘之助とは余りにも見た目が違いすぎて、
「やかましい、で、その金属音のする包みの中身は…ナイフとフォークか」
「はい!」
「…まぁいい」
元気のいい返事に脱力した紘之助は、アルフォンソに背を向けて一言[乗れ]と言うと腰を落としておんぶする姿勢をとる。アルフォンソは
燈吾のいる屋敷近くまで戻ってくると、背から降ろしたアルフォンソの姿を上から下まで眺めて、果たしてこのまま彼を燈吾の元まで連れて行って大丈夫だろうかと考え込んだ。焦げ茶の長髪は三つ編み、上はふんだんにフリルが
「一応考えてコレで来たんですが…ダメでしたか?」
「…
彼の顔の造形は、この辺りで見かける者達とは明らかに違っている。その出身地は、ある
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