雷鳴ψを考案した理由

 武道家の間で広がって来た従来の武道に対する危機と、現代社会や観光経済などに武道が必要とされはじめる予兆の二点が背景にありました。

 型稽古を木刀で斬り合い試しするのは初心者にとっては難解なため、今の攻撃が効いたか外れたかを即座に直感的に知る必要があると感じていました。そこで、電脳具足雷鳴ψは急所の概念と強弱中の判定が電機的効果で反映されるような造りにしました。


 開発すると展示会や体験会で以下のようなさまざまのご要望やご提案をいただくのです。それは私にとって望外の、広い範囲にも渡る到達不可能にも思える課題でした。

 ・武道のスポーツ化に歯止めをかけたい。

 ・ゲームの暴力性を現実の痛みに転化し、エネルギーを昇華させることで、健全化を図りたい。

 ・日本人の勤勉な国民性を根付かせる

 ・厳しい徒弟制度、家元制度、師弟関係が元になっている武道に、ゲーム性を取り入れることで、より気軽に武道へ若者を誘いたい

 ・高齢者や、ハンディキャップのある方の生き甲斐として

 ・外国の観光客の誘致のため

 ・日本人の各地にある観光施設のコンテンツとして採用し、武道、ゲーマー、コスプレイヤー等の交流をすすめることで、地方の過疎化を解消する

 ・介護予防のため


 直ぐには達することの出来ない目標もありますが、まずはより汎用性の高さを備えるべくeスポーツとしての運用に特化し、電脳具足及び意匠登録済み専用刀を用いた競技を、超人スポーツ協会の公式認定競技“eコンバット交陣”として認めていただきました。協力してくれた修行者・格闘家の皆さんには感謝いたします。


 武道には精神の成熟を促す効用があり、スポーツをすることで、精神の器が大きくなるような種類の“フィジカル”eスポーツを創りたいと考えます。今回のスポーツ産業見本市では徒手版を発表しました。


 響尤の研究テーマは以下の3要素の追求です。


・“死に体”を擬似的に安全かつリアルに経験する事を繰り返す事で人の精神がどのように成長して行くか


・‟スポーツ” ‟武道” ‟娯楽”の垣根は何処にあり、それをどの様なバランスで融合させればより心地いいか


・‟観客”と‟競技者”が一体になって競技を楽しむにはどの様な電子的工夫が必要か


 以上を研究しながら更なる製品開発に活かして行きます。


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