百合なお姫とノンケな王子。

柚雨。

第1話

酔ってる女の子って、結構可愛いと思う。

普段と全然違えば尚更。

もちろん、普段からカワイイ子も、酔ったらもっと可愛く見えると思う。

そう思う。思ってただけ。……のはずだった。



昨日の記憶はある。会社のみんなで飲んで、わいわい仲良くして、たしか三次会までは記憶あるんだけど……。

ココドコだ。。。

全然知らないんだけど。。。隣には……、カワイイ女の子。

ちなみに、下着、つけてない……。

自分を確認すると自分も着ていなかった。

まじかよ。真っ裸なんだけど。お互い。

こんな女の子知らない。こんな可愛い子知らない。

って言いたいけど、知ってる。同期の女の子だ。しかもそんなに仲良くなかった。

昨日一緒に三次会まで飲んだんだっけ。

お互い酔ってて仲良くなったんだっけ。


で、ここはどこだ。


見た感じ誰かの家っっぽい。生活感がある。

可愛い女の子の部屋。

ふわふわで、全体的にピンクでまとめられている。

かわいい。

私とは真逆だわ。


「んっ……」


やばっ、起きる?!


「んん??、……んん??なんであたし裸なの?」

「……、覚えてない?」

「…え、誰。」

「同期の田井中 汐織(たいなか しおり)。わかる?桃園 碧(ももぞの みどり)さん。」


彼女、桃園さんは昨日のこと思い出したのか、頭を抱えて「あああああ……」と唸ってる。

ちなみに私はここに来た記憶がない。

てことは、桃園さんがここまで運んでくれたのかな?


「ごめん、全部私のせいだ…責任取る。だから、結婚してください。」

「…………は?……はぁああああああああああああああああああああ?????????????」


桃園さんは昨日のことを全部思い出したらしく全部教えてくれた。

彼女はレズビアンで、前々から私のことは気になっていたらしく、この飲み会がチャンスだとおもい、酔わせてお持ち帰りしたらしい。

そして、やることやっちゃったらしい。

要するに、処女奪われちゃった?


今まで大切に守ってきた(不可抗力)処女をまさかの女の子に奪われ、さらに結婚まで申し込まれるという事件(?)

ちなみに桃園さん、、さっきからずっと土下座したまま。しかも、裸のままで。


「と、とりあえず、服着よう?」

「あっ!そうね!!」


二人はいそいそと服を着始める。

その間に桃園さんを少し観察。

うん、普通に可愛い。私の好みだし、男に好かれそうな感じ。

でも、女の子のことが、私のことが好きなんだっけ?

……意識したら恥ずかしくなってきた。


「あの、田井中さん……。」

「へ?あっはい!!」

「改めて言うね。交際を前提に結婚してください。」

「余計ひどくなってるからね!?……とりあえず、自己紹介しませんか?お互い知らないこと多いだろうし……。」


同期入社とはいえ、年齢がみんな同じわけではないから、口調が定まらない。

という理由もあるし、正直桃園さんのこと名前ぐらいしか知らないんだよなぁ……。

と思って提案したらあっさり乗ってくれた。


「じゃあ私から!!」


桃園さんは張り切って手を挙げる。

なんだこれ。可愛い。


「桃園 碧。26歳。攻めです。」

「ちょっとまって攻めってなんですか。」

「あとで説明するね。四年生の大学を卒業して大学院に行って、24で卒業。そっから2年はフリーターしてたの。元カノに未練があってどうしても就職する気になれなかったのよねぇ……。でもさすがにずっとフラフラしてるわけにはいかないからって、今回ここに就職したの。そしたら!!!!田井中さんにあえて!!!!!!私幸せでっす♡♡♡」


なんだろう、なんか、ものすごいことを聞いてしまった気がする……。

元カノとか、フリーターだったとか、26歳だとか……。


「好きなものは女の子♡嫌いなものはクズな男ども♡あ、ちなみに攻めってのはえっちの時の男側ね♡」


なんだろ……頭痛い……。


「じゃ、次は田井中さんの番!」

「えっと、田井中 汐織 22歳 四年生大学を卒業して新卒で入社しました。特に目的とかあるわけじゃないけど……。恋愛対象は一応男。今まで彼氏いた事もあります。けど、全部振られてます……。かっこよすぎるって。隣にいるのが逆につらいって……。ちなみにしたことあるのは、……………ちゅーまで。」

「え、なにそれかわいい。つか男どもやっぱムカつくわね……。」


自己紹介ってこんなに恥ずかしいもんだっけ……。

すごい恥ずかしい。

布団とかくるまりたい。

まぁ、そんなこと人様のおうちですし一応年齢的には年上の方のものだからしないけど。


「好きなものは、可愛いもの。ふわふわしたもの、レース、お花、あと、女の子。嫌いなものは…自分のこの顔とこの身長かな。」


女にしては高い背。無駄に整ったこの顔。男顔。

ただのコンプレックスだ。

可愛い靴はヒールだから履きたくても吐けないし、ふわふわな服、可愛い服、どれも似合わない。


「私からしたら羨ましいけどな。私チビだし。童顔だし。年相応に見られることなんてない、中学生?なんて言われることあるのよ???」

「可愛いからいいと思います。私は好きですよ、桃園さんのこと。」


そういうと、桃園さんは顔を真っ赤にしてプルプルしている。

なんか変なこと言ったかな?


「天然タラシなの?」

「へ??…わかんないです。」


とりあえず、一通り自己紹介は終えた。

さあ、このあとどうするか……。


「自己紹介も終わったし!!私と付き合って?」

「いやいやいやいやいや、そんな軽く言うもんじゃないでしょ?!」

「汐織ちゃんのこと好きよ?それに、さっき好きって言ってくれたじゃない!」


そういって桃園さんがスマホを操作する。

「私は好きですよ、桃園さんのこと。」

スマホから私がさっき言った言葉が流れてくる。

まさか録音されてるとは…………。

いや、録音されててもべつに怖くはない!!!


「ちなみに、今私がスマホでちょちょいと操作すればこれが会社の人たちに行き渡るけど?」


怖!!!!!!!桃園さん怖!!!!!!!!


「脅さなくてもいいじゃないですか……。」

「だってぇ~、処女奪っちゃったし?昨日、気持ちよかったでしょ?」


そう言われ、頑張って昨日のことを思い出す。

途端、恥ずかしくなった。


「照れ顔可愛い♡」

「……碧さんいぢわる。」


桃園さんに意地悪されたので私からも仕掛けてみた。

名前で呼ぶ+上目遣い。

女の子がこれやると可愛いんだよね。私じゃ可愛くないけど。

って思ってたけど、桃園さんには効果抜群だったみたいで鼻を押さえている。


「ごめん汐織ちゃん、襲ってもいい?」

「ダメに決まってるでしょう?!」

「ちぇーーー。」


なんだか、桃園さんが可愛く見えてきた。

なんで、ドキドキするんだろう……。


いかんいかん、ドキドキしてる場合じゃない。

いまは、交際申し込まれたんだから、それに対して返事しなくちゃ。

でも、別に、嫌いな訳では無いし、かと言って、好きなわけでもない。

というか、分からない。

だから……


「とりあえず、お付き合いの件は保留にしませんか?お互いのこと全然知らないのに、付き合うってのも変ですし……。」

「じゃあこれから知っていって、好きになってもらえばいいのかな?!」


桃園さん元気すぎない????

というより、この発言で少し凹むかなと思っていたのに、逆効果だった。

むしろ、やる気にさせてしまった。でも、それがどこか嬉しいと思ってしまうのはなんでだろう。


「そういうことになりますね。」

「わかった。じゃあとりあえず、デートしよ!!!今から!!」

「今から?!」


今日は土曜日。

確かに仕事はない。そして予定もなかった。

けど、服も昨日のまま。メイクも髪もぐしゃぐしゃ。


「一回帰る?」

「いいですか?」

「もちろん!!じゃあ◯◯駅に13時ね!」

「わかりました。」


そこで一旦別れ、結局デートをすることにした

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る