XIX; The Sun



 <正位置; 進歩 幸福 友情の始まり>



 目を覚ましたら目の前に知らない人の顔があって、そんなシチェーションもそうそうないから、わたしは一瞬ドキッとする。なんとなく、その人を起こしてしまわないように慎重にそーっと身体を起こして、まじまじと顔を確認してみてようやく、あ、これ嶋中優子か、と昨夜の展開を思い出す。


 すっかり安心しきった穏やかな表情で、すやすやと心地よさそうに眠っている嶋中優子は、なんだか、わたしの記憶の中におぼろげにある嶋中優子とはずいぶん違って見えて、やっぱりわりと綺麗な顔をしてるんじゃんか、みたいなことを少し思う。


 たぶん、いつも顔の表面に張り付いている不安そうな表情とか、卑屈そうな雰囲気とかが印象を暗くしてしまっているだけで、そういうネガティブなテクスチャーを取り除いてしまえば、嶋中優子もそこそこかわいい女の子なんだろう。


 そんなことを考えながら、ジッと嶋中優子の顔を観察していたら、嶋中優子が不意にパチッと目を開いて、わたしと目が合う。徐々に覚醒するんじゃなくて、いきなり百パーセント全開! みたいな感じで唐突に目を覚ますから、ちょっとびっくりしてしまう。


 わたしが「おはよう」と、言うと、嶋中優子も「おはよう」と返事をして、笑った。ああ、やっぱりわりとかわいい顔してるかもしれない。


 時計を見たらもう十一時過ぎで、ずいぶんとぐっすり眠ってしまっていたらしい。夢も見なかった。お母さんはもうとっくに仕事に出掛けてしまっている時間だから、家はわたしと嶋中優子のふたりっきりだ。


 一階におりて、トーストを二枚焼いて、コーヒーも二人ぶん淹れて、簡単な朝食を用意する。寝ている時と寝起きの一瞬だけはちょっとかわいく見えた嶋中優子も「ごめんね……佐鳥さん。なんか、迷惑かけちゃって……」とか言い始めて、またいつものオドオドとした卑屈な表情が顔面に張り付いていて、やっぱりあんまりかわいくないし、そんなテンションの子とふたりきりというのは正直ちょっと疲れる。


「いいよ別に。そんなたかがトーストの一枚くらい、迷惑でもなんでもないしさ」と、トーストを齧りながらリモコンでテレビの電源をつけて、わたしは言う。「嶋中さん、家が燃えちゃったばっかりなわけだし、それは困ったことなわけで、そりゃあ全く迷惑でないなんてことはないけれど、困ったときにちょっと他人に助けてもらうくらいのことは別にいいんだよ。感謝はしてくれていいけど、謝ることはないよ」


「そうかな……うん、そうなのかも」と、呟いたあとで、嶋中優子は「佐鳥さん、ありがとう」と言って、笑う。


 うん。やっぱり、笑っていればそんなに悪くもない。


 お昼ごろに嶋中優子のお母さんから電話があって、警察と消防の実況見分が進んでいて、やっぱり昨日の出火は不審火の疑いが強いって話になっているらしい。嶋中優子の両親も昨夜は近所の人の家に一泊させてもらって、今日は自宅の様子を見に行った後で、改めて実況見分の立ち合いをしたり、銀行とか保険とかなんやかんやをしたり色々とあって、夜はまだどこに泊まることになるのかも分からないということで大変そうだし、まだしばらく娘を預けさせてもらえると助かるって言われて、まあそういうことなら乗りかかった船だし、もうしばらくは嶋中優子をうちに泊めててもいいかなと思って、わたしは承知する。


「わたしも一回、家の様子を見にいきたいかも……なにか無事なものがあるかもしれないし、あと、猫のことも気になるから」って嶋中優子が言い出して、でも遠藤正孝がどこまで頭がおかしくなっているかちょっと予想がつかないし、まだなにかしてくるかもしれないから、今はまだ嶋中優子はあまり外に出ないほうがいいような気がして、え~大人しくジッとしておいてよ~、というのが正直なところなのだけれど、だからと言って家の中でジッとしていろって言ってしまうのもそれはそれで基本的人権の侵害てきななにかっぽい感じもあるから「それならたぶん、もうちょっとしたらキミヤがうちにくると思うから、キミヤがきてからみんなで一緒に出よう」と、わたしは提案する。


 意図はよく分からないけれど、嶋中優子が「久保塚くんと約束をしているの?」と質問してきて、わたしは「いや、別にそういうわけじゃないけど。ここのところ、だいたい昼過ぎにはうちに顔を出しているから」と答える。「そうなんだ」と言って、嶋中優子がなにかを勝手に早合点している雰囲気があって、でもなんだかめんどくさいから、わたしは特に訂正もしない。


 服はわたしのものを適当に嶋中優子に貸すけれど、さすがに靴はサイズが合わなくて、夏だしまあコレでなんとかなるよねってことでビーチサンダルを出す。別に死にはしないと思うけれど、まあちょっと、ダサい感じに仕上がってしまう。うーん、なんだろう? ダサいというか、キャラとちぐはぐな感じというか、根本的にわたしと嶋中優子では似合う服の傾向が違うっぽい。まあでも贅沢は言ってられないので、わたしは真顔で「うん、似合うよ。似合う似合う。大丈夫、全然オッケー」と、嶋中優子に言う。姿見の前で腑に落ちなさそうな顔をしていた嶋中優子も、最終的に「そうかな……? 佐鳥さんがそう言うなら、そうなのかも」と、納得する。で、準備を済ませた頃合いにインターホンが鳴るから、わたしはモニターも確認せずに嶋中優子と表に出る。


 キミヤは普段からすこし表情に乏しくて感情が読みづらいところがあるのだけれど、わたしと嶋中優子が並んで玄関を出ると、従来比5パーセントって感じで微妙に驚きの表情が混じっていて、わたしは「どうしたの、キミヤ?」と訊く。


「いや、なんか印象が違うなと思って」

「ああ、嶋中さん? あー、まあたしかに、ちょっと印象は違うかもだけど」


 わたしとキミヤがそんな話をしていると、後ろで嶋中優子が「……なんか変かな?」って、また例のオドオド病を発症していて、いや、そりゃまあ適当な借りものの服なんだから、ちょっと変かもしれないけれど、ちょっとくらいの変には目を瞑って我慢しててよって思う。わたしがそんなことを考えていたら、キミヤが「いや、似合ってるよ。ちょっと印象がいつもと違うから、ビックリしただけ」とか言い出して、わたしはそっちのほうによっぽどビックリしてしまう。


 なに、キミヤって、そんな女の子を気遣うようなことも言える男だったの?

 ほほお、意外とポイント高いじゃん。


 嶋中優子も単純なもので、キミヤにそう言われると素直に「そうかな?」なんて返事をして表情を緩ませていて、ああ、いいじゃんって思う。そうそう。なんにせよ、暗い顔をしているよりは明るい表情をしていたほうが良い。


 で、嶋中優子がちょっと家の様子を見に行きたいって言ってるからキミヤも付き合ってって話をして、キミヤはふたつ返事でオッケーしてくれるんだけど、それはそれとしてって感じで「その前に言っておくことがある」と、言い出して、その導入部だけでなにか良くないことなんだろうなっていうことが気配で分かってしまう。


「今朝、二年C組の川端恵美かわばた えみが自宅で自殺しているのが発見されたらしい」

「誰それ?」


 反射的に、わたしはそう言ってしまう。なんか、本当に誰それ? そんな子いたっけ? っていう感じで、名前を聞いてもまったくイメージが浮かばない。


「俺も、誰だかは全然知らないんだけど、でもなんにせよ、C組に川端恵美という生徒がいて、その子が自殺していたんだって」

「自殺なの? 心不全じゃなくて? なんで?」

「さあ……? 自己犠牲の精神、ってことになるのかな」


 これ以上、自分以外の誰かが死んでいくことに耐えられないので、みんなの代わりにわたしが死にます。要約すると、そういった意味の遺書を残して、川端恵美は自分の部屋のドアノブにリボンを括りつけて首を吊っていたらしい。ドアノブくらいの高さでも腰が浮くなら首は吊れるんだな、みたいな無駄な学びがある。


「ええ……そんな……」


 本当に無駄だ。


 昨日、わたしたちは昼間のうちに遠藤正孝たちから嶋中優子を守ったり、自宅に火をつけられて焼き出された嶋中優子を助けたり、わりと駆けずり回って一所懸命に頑張ったというのに。


 わたしたちがなんのために頑張っていたかといえば、それは、ひとりの死人も出さないままで木曜日をこえて金曜日を迎えることで、木曜日のジンクスなんていうのは根拠のないわたしたちの思い込みに過ぎなくて、そんなルールはないしムルムクスなんていう邪悪な神だか悪魔だかも存在しないんだって、そのことを証明するためで。


 そんなわたしたちの努力が、思い込みの激しいひとりの女子の善意の自己犠牲の精神で、全部まるっきり台無しになってしまったということになるのだ。


「昨日は、その川端恵美っていう子以外には、心不全で死んだ子はいなかったんだよね?」

「うん。俺が把握している範囲では、そうだな。他には誰も死んでいないはずだ」

「ああ~もう~~~っ!!」


 わたしはついイライラとしてしまって、大きな声を出してガシガシと頭をかきむしる。


 なんて無駄で無意味で迷惑な善意の自己犠牲だろう。誰も死ななければそれで終わった話だったはずなのに、川端恵美とかいう子のせいで、結局今週も木曜日に誰かが死んだわけで、木曜日のジンクスが覆せない。


 というか、たぶんそれは純粋に自己犠牲の精神というわけでもなかったのではないだろうか。たぶん、川端恵美は(知らないけど)死の緊張感に晒され続けることに耐えられなくなってしまったのだ。どのみちいつか死に捕まってしまうのなら、その前に自分でゲームから下りてしまいたかったのだ。ドッヂボールの序盤でわざとアウトになって、外野でゆっくりする子みたいに。


 でも、どんな理由であろうと、死んでしまえばそれはすべてムルムクスに回収されてしまう。ひょっとしたら、ムルムクスは心不全だけじゃなくて、心の弱い人間に囁きかけることで自殺に追い込むという方法でも、人を殺すことができるのかもしれない。自殺した川端恵美(とかいう子)も、実際のところはムルムクスに選ばれて殺されたのかもしれない。


 かもしれない、かもしれない、かもしれない!!


 真相がどうであれ、そういう解釈は成立してしまう。そして、そういう解釈を許してしまう限りは、この馬鹿げたお祭り騒ぎは終わらない。どんな解釈も許さないぐらい、完全無欠に全員が生きていなければならない。途中でゲームを下りることは許されないのだ。


「落ち着けよ、むっちゃん」と、キミヤがわたしの肩に手を置く。「起こってしまったことは仕方がない。とにかく、どうやらこの状況はまだ続いていて、俺たちはまだ色々なことに対して警戒をしていないといけないんだ」

「ああ、うん。そうだね」と、わたしは自分の肩に置かれたキミヤの手をジッと見つめながら、その手に話しかけるみたいに答える。大きな手だなって、改めて思う。なぜか、わたしは昔の小さいキミヤの印象をずっと引きずっていて、毎日のように見ているはずなのに、やっぱり思っている以上に実際のキミヤが大きくて、今でもまだときどき驚いてしまう。


 そういえば、昔はキミヤは外でなにか嫌なことがあると、わたしの家に逃げ込んできていたのだ。それで、小さい頃はキミヤがわたしの家にいることも多かったのだ。


「なんか、頼もしいね。昔はキミヤは小さくて、わたしが守ってあげてたくらいだったのに」と、わたしが言うと、キミヤはそっぽを向いて「だから、むっちゃんを守れるようになりたかったんだよ」と、答える。


 うん。なんだか頼もしい。


 昨日の夜は嶋中優子が靴を履いていなかったし、そういうやむを得ないやんごとなき事情などがあって自転車の二人乗りで帰ってきたのだけれど、近頃この周辺はやたらと警察官が多いし、そんな自転車の二人乗りていどのことで変に怒られたりしても嫌だから、嶋中優子の家までは徒歩で向かうことにする。所詮は同じ校区内なので、歩いたとしてもそれほど遠くはない。


 もう八月も目前で、四方八方でセミがギャンギャンと鳴いているし、アスファルトは靴底のゴムが溶けてへばりつきそうなぐらいにチンチンに熱くなっていて、ちょっと歩いただけで一気にブワッと汗がふき出してくる。そういえば、夏休みに入ってからこっち、昼間はずっとエアコンの効いたリビングでゴロゴロしてばかりだったから、陽のあるうちに外を歩き回ったことなんてなかったなぁ、なんてことを思う。


 歩き出してすぐが一番しんどかったけれど、その山場を越えるとだんだん身体も慣れてきて、ただ歩いているのもちょっと楽しくなってくる。なんか夏って感じがする。夏なんだけど。


「やっぱ、たまにはこうやって太陽の光も浴びたほうがいいのかもしれないね」と、わたしが言って「うん。やっぱり、昼間っからずっと部屋に籠ってばっかりだと、鬱々としてしまってあまりよくない」と、キミヤも同意する。

「わたし、あんまりこんな風に人と一緒に出掛ける? みたいなことってなかったから、ちょっと楽しいかも」と、嶋中優子も言い出して、お? なんだかちょっと心を許してきたような感じがあるじゃんって、わたしは思う。


 嶋中優子の家の前には、パトカーが二台止まっていて、たぶん実況見分てきなことをやっている。放火の疑いが強いから、消防じゃなくて警察が入念に捜査をしているらしい。仮に遠藤正孝たちの仕業だとしたら(たぶんそうだろうけれど)、これはシャレでは済まないだろうし、確実になにか証拠を見つけられて逮捕されてしまうと思うし、早いところそうなってほしい。


 建屋の向かって左側が激しく燃えて崩れてしまっているけれど、右側は外観だけは原型を残していて、でも窓は全部割れているし中は煤で真っ黒になってしまっているように見える。


「なんか、ちょうど半焼って感じの焼けかただね」

 嶋中優子の父親が、ゴウゴウと燃え盛る自宅をぼやーっと眺めながら、もうここまで燃えちゃったらいっそのこと全焼してくれたほうが助かるんだけどなぁ~みたいなことを呟いていたらしい。

「保険とかの関係で、半焼って一番ややこしいんだって。燃えたのは半分だからって保険金は半分しか下りないんだけど、半分も燃えちゃったら、どうせ全部建て替えるしかなくなるから」


 中の様子は見なくていいの? って訊いてみたら、嶋中優子は「別にいいかな。たぶん中身も全部ダメっぽいし、警察の人もなにかしているみたいだし」と言う。


「猫がいないかなって、思ったんだけど」と、嶋中優子は周囲をキョロキョロと見渡して、メイ~? メイ~? と、たぶん猫の名前を呼ぶ。返事はない。


「ダメみたい」と、嶋中優子が肩を落とすので、わたしは「きっと大丈夫だよ。猫なんか人間よりもずっとすばしっこいんだから、嶋中さんも嶋中さんのお父さんもお母さんも無事だったくらいなんだし、猫もたぶんどこかに逃げ出して、隠れてるんだよ」と、励ましてみる。本当のところはどうか分からないけど、そうだったらいいなって思うから、そういう風に言ってみる。


 もう満足したらしい嶋中優子が「帰ろっか」と言って、すこし歩いて気分が良くなっていたわたしは「せっかくだから、公園のほうをグルっと回ってから帰ろう」と提案する。嶋中優子の家からは、ちょっと大回りすればわたしの家のほうまで延々と大きな公園の中を抜けていくことができるから、どうせならそっちのほうが散歩としても楽しいだろうと思ったのだ。


 日向のアスファルトは本当に暑くて熱くて嫌になってしまうけれど、公園に入ってケヤキ並木の日陰に入ると風通しがよくて、Tシャツがびちょびちょに濡れるほどかいた汗もスーッと引いて、歩いていて気持ちがいい。


「こんな近所の公園でも、こうしてゆっくり散歩してみると意外と悪くないものだね」と、嶋中優子が大きく腕を振りながら笑っていて、ひょっとすると見た目通りの繊細で気弱なだけの子でもなく、ゴウゴウと燃え盛る自宅を眺めながら保険のことを考えられるような父親譲りの、図太さと胆力があるのかもしれないな、なんてことを思ったりもする。


「ね、意外と穴場スポットかも。そんなに人気もないし」


 そんな風に言ったあとで、あれ? そうじゃん、この公園あんまり人気ないじゃん。え? ひょっとして、そういうのって今の状況ではあんまりよくないんじゃなかったっけ? なんて考えがすこし過ぎる。そして、どうやらその考えに至るのが、一足遅かったようだということがすぐに分かる。


 気が付いた時には、わたしたちは前後から遠藤正孝with五人の男子ズに挟み撃ちにされていて、そいつらは棒とか棒とかバットとか、それぞれになにやら物騒な得物を下げていて、こんな真昼間から堂々と襲撃する気満々って感じの雰囲気だ。


 木曜日も終わって、川端恵美が死んで、もう当分は次の死人は出る必要もないっていうのに、そんなことはお構いなしで遠藤正孝はわたしたちを襲撃することじたいが目的になってしまっている。


 遠藤正孝が「よお、キミヤ」と、バットで肩をトントン叩きつつ、ゆらゆらと揺れながら間合いを詰めてくる。


「むっちゃん、嶋中、走れるか?」と、キミヤが訊いてくるけれど、走れるかもなにも、こんなの走るしかない。「たぶん、左の二人が一番チョロい。俺があそこを突破するから、むっちゃんと嶋中はそのまま走って家まで戻れ」


 モタモタしていたら、どんどん包囲の輪を縮められてしまうから、決断は早ければ早いほどいい。

 キミヤがダッと左に走って、そのままの勢いで飛び蹴りして男子をひとりを吹っ飛ばす。着地してすぐに別の男子のほうに走っていて、そちらにも飛び蹴りを食らわせる。そっちのやつは簡単には吹っ飛ばないけれど、その間にわたしと嶋中優子は脇を走って包囲の外側に抜ける。


 息が切れる。顎が上がる。

 しばらく、とにかく前だけを向いて走って、振り返る。


 キミヤはまだそこに留まって六人相手に殴り合いの喧嘩をしていて、遠藤正孝たちは六人全員で棒とか棒とかバットとかでキミヤに殴りかかっていて、わたしと嶋中優子を追ってくる気配はないし、どうやらあの六人の狙いはもはや嶋中優子じゃなくて、キミヤのほうらしいということが分かる。


 わたしは一瞬、立ち止まる。けれどキミヤに「行け! むっちゃん!」と怒鳴られて、キミヤをその場に残して嶋中優子と一緒に走り出す。キミヤをその場に残して、キミヤを見捨てて、自分たちだけで逃げる。



 結果から言えば、遠藤正孝たち六人を相手に大立ち回りをしたキミヤはあちこちに怪我を負いはするけれど負けはしなかったみたいで、後でまたわたしのピンチに駆けつけてくれる。



 わたしはこの後、包丁を持った幸田義男に追い詰められて愛の告白をされることになる。



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