4日目 ─友情─

場所が移って、駅前の喫茶店。

まず、探す前に中島敦君って子がどんな子なのか知りたいと巫女がいい、一緒に探すならまず情報を共有しないとねと美姫が言ったためである。

「で、中島敦ってどんな子だったの?」

「えーと、どんな子って言われても……普通な子だったんだけど……うーん、なにか変わったことがあるとしたら、たまに可笑しなこと聞いてくるかな」

「可笑しなこと?なにそれ」

「前は、急に私に愛ってなんだと思う?って聞いてきたよ」

「愛について?それは、確かに可笑しいかも」

「そう。まあ、中島敦君がどんな子って聞かれたらこれくらいしか言えないかな」

「わかった。ありがとう」

「じゃあ、次は、琴葉が私と一緒に探す上で、必要な情報を教えてくれる?」

「うん………でも、少しだけ時間ちょうだい」

「いいよ」

……必要な情報ってなんだろう………敦君が入院していることは言ったし……

「琴葉、考えているとこ悪いんだけどさ、琴葉私になにか隠していることあるでしょ?」

巫女が聞いてくる。

「な、なんでそう思う?」

「だって、前に私が時間跳躍は可能だと思うって聞いたときあったでしょ。それに、琴葉もの凄く暗い顔しながら答えていたよ。特に未来を変えることがあるかもしれない。そう言った時に」

………やっぱり、巫女はすごいや。そんなことだけで、私が隠し事していることに気づいてしまうのだから。

だから、私は自分がタイムリープしていることを話そうと決めた。

「うん、私は確かに巫女にも美姫にも隠し事があるよ。でも、頭おかしいと思うかもしれないけど、驚かせないでよ」

「うん」

「わかった」

「実はね、私は1週間限定で過去に戻ってきているよ。つまり、私はタイムリープをしているの。だから、この後の展開を知っている。もし、このままなにもしなかったら、中島敦君は死んでしまう。だから、敦君が早くどこにいるか見つけなくちゃいけないの。そうしないと、折角私は、あの時に伝えることができなかった自分の想いを伝えることがまたできずに終わってしまうから。これが、私が隠していることだよ」

「そっか。タイムリープしてるんだ。なんか、凄いね。ちなみに、私たちが何歳の時から?」

「25歳くらいかな?」

「え!あと9年後かー。9年後私たちの関係がどうなっているかと、めっちゃ聞きたいけど、でも今はそんな場合じゃないから、諦めておくよ」

「そうしてくれると私としても嬉しい」

「うん、それで琴葉が悩んでいること、いや困惑していることはたぶんだけど、でしょ」

まあ、唯の私の予想だけどねと、巫女は言った。

………本当に本当に、すごいや。巫女とは。こんだけしか話していないのに私が困惑していることだってわかっちゃうだから……

「うん、そうだよ。私が知っている展開と少し変わってきている。私が知っている展開なら敦君は、ここから少し離れた岡島病院に入院しているはずなの、でも今はいない。それが変わったところ」

「そう」

「ねえ、少し聞きたいことがあるんだけどいいかな?」

美姫聞いてきた。

「うん、いいよ」

「これは、私の予想って言うよりかは妄想に近いことだけどさ、琴葉の知っている展開となにか変わる要素があったんじゃないかなーって。例えば、中島君と話さなかった日に話したとか」

………話さなかった日に話した日。そう言われるとすぐに思い出されるのは、この時間軸に来た初日に屋上で弁当を一緒に食べたぐらいだ。

でも、そんなことでなにか未来が変わることなんてあるのだろうか。先生は、確かに私に一定期間であるタイムリープでも未来を変えることはあると言った。でも、その確率は低いとも言った。言われたその時は、すごく神経質になって、なにか知っていることと違うことがあるとこれが未来を変える要素になるかもと思っていたけど、でもあの日のことが未来を変える要素になっているとは考えにくのだ。

「………わかんない…」

私は誰に言うわけでもなく、力なくそう言った。自分でもなにに対してわかんないと言ったのかはわからない。

そんな時だった。

巫女とがこんなことを言ってきた。

「屋上で一緒に昼御飯食べたとかじゃないの?」

「え?なんでそのことを知っているの?」

「ん?ああ、たまたまね。見ている子がいてね、教えてくれたんだ」

「そう……………」

「それが未来を変えたんじゃないの?」

巫女とは鋭い声でそう言ってきた。

「そ、そんなわけないじゃない!」

私は思わず叫んでしまった。

だから、周りのお客さんたちの視線が一気に私に集まる。

「巫女さん、それは言い過ぎだよ」

と、美姫は巫女に言っていたが、巫女は全く聞く様子などなく、

「だって、それしか考えられないでしょ?」

と、私にダメージを与えてきた。

「な、なんでそんな風に思う!」

私はもう一度叫んでしまった。

今は周りの人なんて考えている余裕なんてなかった。

だって、自分のなにかを否定されているようの感じて。

「それはね───

そして、巫女とは語り出すのであった。

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