東京都庭園美術館

 たまたま通りかかったので東京都庭園美術館に行ってきた。旧朝香宮邸とその庭園、新館からなるわけだが、この旧朝香宮邸がまた素晴らしいものだったのである。由緒ある邸宅なのだから当たり前だと思われるだろうが、三菱財閥の旧岩崎邸庭園、古河財閥の旧古河庭園にも足を運んだことが有るが、それ以上の感動であったことは疑いようがない。流石は皇族ということだ。

 だが、何が私の胸を打ったのか、それが分からないのである。フランスのなんとかいう建築様式が用いられているらしいが、建築の知識を持たない私には何の事だか分からない。唯一持っている知識と言えば落水荘のフランク・ロイド・ライトの名ぐらいだ。そんな素人を唸らせるわけだから建築家、いや芸術家とでもいうべきか? とにかく大したものである。庭園に茶室もあったが、こちらはいかにも日本風で雅なものであった。

 帰りに自然教育園にも寄ろうとしたのだが、なんと数百円の金が払えず断念した。いや、あるにはあったのだ。野口英世が一枚。しかし、それを使ってしまうと夕飯が食えなくなるので諦めるしかなかった。また来るとの誓いを立て、取りあえず六本木に向けて私は歩き出すのであった。

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