愛妻家?

70歳位 一見さん

子有 妻死別


このおじ様


「今日は亡くなった女房の7回忌で呑みたい気分なんだ」


と言って入って来た


話しを聞くと

奥さんが亡くなり今まで再婚せずに居たが

この歳になって好きな女性が現われたとの事


お互い相思相愛

一緒になりたいのだが

前の亡くなった奥さんの7回忌が過ぎるまで待っていたらしい


そしてこの日が来て

墓前に報告に行ったと話す客

亡くなった奥さんの名は


寿子


寿の子と書いて「としこ」

と言うらしい


と…

胸ポケットからハンカチを取り出す男

広げて見せた大判のハンカチには


「寿」


と言う字がいろいろな書体で全面に書かれている物だった


「女房の事はこの7年間一日たりとも忘れた事はなかったんだ」


「寿子が死んだあと

このハンカチを偶然見つけて…一目でこのハンカチは俺の為のハンカチなんだと直感したね」


「このハンカチ「寿」と言う字が全部違う書体で100個書いてあるんだ俺の御守りとして毎日胸ポケットに入れてるんだ」


と涙ぐみ話す男

えぇ話や

ママも思わずもらい泣き


そして閉店まで呑み

その間

「千の風になって」

を泣きながら歌ったりして

みんなの涙を誘い…


ご帰宅したおじ様

本当に奥さんを愛していたのね


次の日


店に行くと…

ママ「NaNaチャン見てごらん」

目の前に広げて見せた

寿のハンカチ


「椅子の下にあったのよ

昨日の客落としたの気付かないで踏み付けながら呑んでたみたいよ」


えぇぇぇぇぇぇ!

あんなに大事にしてるって言ってたのにぃぃ


フツー探しまわるだろう

奥さんがなくなってからずっと身につけてた御守り代わりの大事なハンカチ


「男なんてそんなもんだよ覚えておきな!」


あれから二週間…

未だに取りに来てない…


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