喧嘩/乱闘


うちの店はお客様同士の喧嘩はあまりないが

ヤッパ酒が入るので

まれにですがイサカイが起きる時があります

ってか

ママとキャサリンがお客様と喧嘩するのが一番多いけどね

ちなみに私は喧嘩した事はありません

昔から争い事は嫌いですから(笑)


そいつらは突然やって来た

それもキャサリンが休みの時に


店も終わりの頃

一人の男が扉から顔を出し

『すみません!始めてなんですが…2人いいですか?一杯だけでいいんですが…』

一見チンピラ風に見えたが

満面の笑顔で感じの良さをアピールする男


つい…その笑顔に騙され

ママが『一杯だけならいいわよ』

とOKしてしまった

私…嫌な予感…

私的には顔つきが気に入らなかった


1度扉を閉めて相方を呼びに行く男

戻って来たのは五分後

一人で歩けない程の

ベロンベロンに酔った60歳代の男を抱えながら


『アンタ!!そんなに酔ってるんじゃうちはお断りだよ!』

「いいって言ったじゃねーか!」


相方の腕を肩に抱き乱入無理矢理座る

さっきの笑顔は消えていた…

ベロンベロン男「金ならある!預けておく!」

と一万円を出す


が ここで先にお金を預かると長居されては困ると思ったママ

代金は帰りに貰うと断わった

男はすんなり引っ込める


結局2杯づつとカラオケを3曲歌い

強制会計

「8000円でーす」

伝票を出すと

『さっき一万円渡したろ』

なるほど…

ヤッパそうきたか

絶対何かあると思ったし


この時店には

そいつらの他にピンのお客様が2人

その中の1人が

ママとそいつらの言い争いにキレた

「お前らいい加減にしろよ呑んだ金位綺麗に払え」

おバカ2人組…

カッチ~ン


男2人組…

カウンターに置いてある

ションベン小僧の置物を手に取り

頭上高く振り上げそのお客に向かって殴りかかろうとした


※注

このションベン小僧は

中に水が入る様になっている瀬戸物で

頭をスッコスッコ押すとティンティンから水が出る

前はそれで水割りを作っていましたが

お客様から『まずそう』

の声が多々あがり店のカウンターの置物に化した物です


ママ&NaNa&もう1人のお客が止めに入ったが男達は揉み合いに

こっちはお客様に怪我をさせては大変と必死だ

お客目掛けて叩きつけたションベン小僧は運良く不発でカウンターに当たる

相手はベロンベロンに酔っているので命中力が衰えてるみたいだな


スキを見てお客様をトイレに避難させました

「出てこいコラァ出て来ねぇとぶっ殺すぞ」

トイレのドアをダンダンダンダン叩く馬鹿男

出てくれば許すのか?

イヤ出て来てもぶっ殺されると思いますが(笑)


思わず突っ込み入れたくなる


最初に入って来た方の馬鹿男はボックス席のソファーに座り込みニヤついている

私達ともう1人のお客には怒鳴るだけで手は出さなかったが

止められそうもないのでママがキッチンで110番しました


交番がすぐそばなので3分位でお巡りさん登場

お巡りさん2人来ましたが

悪態をつかれ応援を要請し

結局5人のお巡りさんが来て

引きずられながら連行されて行きました


代金もお巡りさんが押さえ付けて財布を抜き取り

勝手に開ける事は出来ないみたいで馬鹿男に強制的にお金を出させてました


めでたしめでたし


でもね…

捕物の最中にトイレから出て来たお客様

「殺れるもんならやってみろ」

とか言い出してた


お巡りさんに取り押さえられてるから

かかって来れないのわかってるからね

でも馬鹿男が『何ぃ~』って向かってきそうな素振りをしたら一歩後退りしていた


あのぉ~

最初は注意してくれてかっこ良かったんですけど…


最後は

かっちょ悪ぅ~


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る