第4話

「はあ、どうすればいいんだ……」


 図書室に来るやいなや、そんな本音がため息と同時に、口を衝いて出てしまう。それくらい、僕の精神は疲れ果てていたのだろう。


「どうすればいいって、何か困っていることでもあるの?」


 お陰で隣に居た同じ図書委員の五反田ごたんださんに独り言を聞かれてしまっていた。今さらなんでもないとは言えず、適当に誤魔化すしかなくなった。


「いやね、実は昨日の宿題がぜんぜん終わらなくてさ」


「それは嘘ね。だって、あなた……朝の当番でもないのに、こうして来ているじゃない。宿題が終わらないのなら、ここでのんびりしている場合じゃないわよ」


 相変わらず鋭い観察力をお持ちのようで。五反田さんならもしかしたら、将来は敏腕な女探偵として難事件を解決しているかもしれない、なんて本気で思う。


「はは、五反田さんに嘘は吐けないね。参ったよ」


「それで、何があったのよ。そんな鬱屈とした気分で、この神聖な図書室を穢されたら、たまったものじゃないわ。話してみなさいよ、あたしじゃ力不足かもしれないけれど」


 もちろん、オブラートには包んで話す。ありのままを話してしまったら、僕だけではなく、ふたりにも迷惑が掛かってしまう。


 ふたりとは単純な友だちではなくなってしまったけど、嫌悪するほど嫌いになった訳ではない。というか、僕が傍に居たら良くないという意味で離れているだけだ。

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