第37話 闘いの条件
和泉が言うには、だ。
1.誰も巻き込まないこと。
2.都市の崩壊を、極力抑えること。
そして、最後の条件は。
3.何があっても、自身を守り抜き。この《17丁目》から脱出させること。
色々で、策はないけどもだ。無茶難題と過言ではない、俺じゃなければだ。
それを分かった上での申し入れなのか。ただの本当に口走ったことなのかは不明だが。
旧女王陛下様の願いとあれば。極力のことはしょうとは思った。
「ちょっとばっかし。俺にゃあ不利しかない話しじゃないっすかねぇ」
「それぐらいが丁度よかろう? お前が人間だとは思ってはおらんし、これくらいの枷があっていいぐらいじゃろう?」
(話しを聞いてねぇし)
背中にあたるささやかな膨らみに興奮をする。
だが、今はそれどころなんかじゃない。
一刻も早く、この場所から出なきゃあ、和泉に殺されてしまう。
さて。こういう場合は、なんっつぅか。
ダンマルちゃんに助けのアイデアを頂く他ないっしょ。
「む? 何をしておるんじゃ? お前は」
「電話っす」
「……誰にじゃ?」
「弟にでっす」
走りながらかける電話は、なんてし辛いのか。
――『はい? どうかしたんですか、兄さん』
「あのさぁ? すんごい窮地でさぁ~~wんで、ちょっとばっかし知恵をば貰おうかなってね」
俺の言葉に、ダンマルの奴も言葉を失った。
なんか、とても怖いんですけど。
だって、俺がどこにいるのかを、コイツは知ってるんだもん。
「ぅおぉー~~い? ダンマルちゃ~~ん?」
ダンマルに声をかけるも返事がない。これは、本当に恐ろしいな。
――『……兄さん? あのさぁ~~ひょっとして? 何か仕出かしてます??』
とても低い口調のダンマルちゃん。
あー~~こりゃあ、察しましたわ。気づかれましたわ。
「うん。盛大にやらかしちゃいましたなっ! てへ♡」
――『おーまーえーっわぁああア~~っっっっ‼』
明らかに激怒の声のダンマルちゃん。
本当によかった。
「んなカリカリなさんなっての。兄ちゃんが、後処理しなかったことなんかないだろぉう?」
――『……だから心配なんですよ。
俺は肩を揺らして笑う。
「こう見えて。お兄ちゃんってば――最強なのよ? お分かりでしょう? ダンマルちゃん」
――『分かってます。だからです、敵に同情します。それで、相手はどこの何方なんですか? 状況を教えて貰えますか? 兄さん』
なんて、ようやく聞き返した様子に。
俺も、ガッツポーズをした。
「相手ぇ~~? そりゃあ、あンた」
この後に言った言葉に、ダンマルちゃんは激怒したが。
最終的に協力を得た。
これで俺は本当に、最強×最悪になった訳だ。
娘には悪いが。
俺はお前にゃあ負けない。
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