-賃貸屋の長期休暇、海へ行こう⑦‐

はてさて…リ・ワールドの冒険者ギルド、港街イスルスにはその支部があるわけだけど…

支部に到着した瞬間、黄色い歓声が上がり瞬く瞬間にクロ―ドは囲まれてしまった。


「クロードさんなんですかその格好? 」

「可愛い~~~~~~~」

「私にも抱かせて! 」

「次は私の番よ! 順番は守って! 」


女性陣に囲まれてもみくちゃにされるクロ―ド…女装した姿で来店したがその可愛さにギルドの職員とおとずれていた女性冒険者の餌食になり、それを見ていたヒナタは…


「ぐぎぎぎぎ、私のクロなのに~~~~」


「なんていう力で噛みついているんだこれ…」


「剥がれませんね…」


私のパーカーの袖に噛みつき食いちぎる勢いのヒナタ…やめてお気に入りなんだから…アキトとフィンが引きはがそうと持ち上げて引っ張るが外れる気配がない…やめて本当にやめて破れちゃうから…黄色い歓声と私のパーカーが噛み破られようとしている中、支部の奥で怒鳴り声があがる。


「これはどういうことだあああああああああああああああああ!!」


怒鳴り声と打撃音…そして入口まで飛んでくる支部長…そして部屋の奥からヴォルフが現れる。


「竜王の討伐だと?! 貴族からの依頼? ふざけているのかお前は!! 」


「ひ、ひいいいいいいい!! 」


「今すぐ取りさげろ! これを受けた奴らはいないだろうな?! 」


怒りの形相で支部長の襟首を掴み、顔を覗き込みながら問いかける…うわぁ~あれは怖い、しかし竜王?まさかヒスイじゃないでしょうね…ま~討伐なんてアキトか私か王女とかじゃないと無理かな身内だと…


「しかし、どこの貴族が知らねえがイスルスで信仰している竜王様を討伐依頼だ? 個の街全員を敵にする気が? 」


ヴォルフの一言に街の冒険者、ギルド職員が支部長に怒気、威圧、殺意、を向ける…どうやら依頼について知らなかったようだ…どういう理由があろうとも信仰する物を討伐依頼など信じられない行為だが…イスルスの竜王、名前は確か…


「竜王…リヴァイアサンのリンクじゃ」


そうそうリヴァイアサンの…って! いつのまに後ろにいたヒスイとその隣には薄い水色の髪の男の子、アキトとフィンも振り向き目を開いている…ヒナタはいまだに裾を噛んでいるけどそちらを見ている。


「だから私の思考を読むな! ってなんでリンクがいるの!! 」


その言葉にギルド支部にいる物達全員が驚愕の声を上げヴォルフもポカーンとした顔をしており支部長は必死に逃げようとしているがヴォルフから逃げれるわけがない。


「久々にこちらに来たから会いにいったのだがの? 喧嘩を売って来たのでちょっとこらしめたのじゃ」


「こらしめただって? 軽く噛みついただけで本気でボコボコにしてきたじゃないか!! おかげで鱗がボロボロだよ…しかしそこの男! お前か! こないだから僕の寝床の上に船でやってきて! 」


顔を青くする支部長


「ご、誤解です!! 私は脅されて依頼をだしただけで!! 」


「うるさい! お前も共犯だ!! 依頼主は誰だ!! 」


竜王リンクの威圧、一部を除き静まり返る支部内…私達が支部長に注目する。


「王都の貴族ダネスです!! その従者と名乗る男に逆らえば家族もろとも皆殺しにすると脅されて…かなりの実力者で手も足もでず…」


あれ…ダネスってたしか私が捕まえた銃犯罪の…


「よし、いまから王都に行って…」


「すと~ぷ! ちょっとすと~~~ぷ! 」


私はリンクの頭を掴み、外へ出ていこうとしたリンクを引き留める


「グエ……誰だ!! 僕の首を絞める馬鹿力は! ………イズミか、お前!! ここであったが100年目! あの日の屈辱を! 」


「いや100年もたってないから…あの時は…ごめんね、アキトと私、丁度お腹がすいてて…尻尾? 結構美味しかったよ…じゃなくって」


私とアキトは一緒に旅をしている途中に西の大陸で竜王リンクと遭遇し、戦ったことがある…その時は食料を切らしており空腹のあまり…襲った…尻尾を斬り、美味しくいただきました…その時かな? 水中でも呼吸できるスキルが生えたのは…


「食べたのか…尻尾」

「店長とアキトさんなにしてるんですか」

「竜王様のお肉美味しかった? ね~美味しかった?」

「竜王の肉を食べただと…」


ヒスイ、フィン、ヒナタ、ヴォルフと驚きの表情を支部内の人々もざわざわと騒ぎ出す…


「それは置いといて! その貴族ならもう捕まって永獄入りしているわよ、人殺しの罪、重罪人として…」


「ほう…」


その後、王都で起きた事件、貴族ダネスが起こした事件とその顛末を説明し、支部長もすぐに依頼を取り消し、この場にいた人たちに謝罪をする、ヴォルフは支部長を降格処分をくだし、次の支部長はおって決めることになったが…



「さて…僕の眠りを邪魔する奴はもういないとわかったが…イズミとアキト…」


リンクが笑いながら私とアキトを見てくる…ヒスイは楽しそうにこちらを見ている。


「アキト逃げるわよ! 」


「了解!」


私とアキトは脱兎のごとくギルドから逃げ出した…竜王リンク…今の私達からすればさほど強さはさほどではないが…無限に再生する肉体と好戦的なその性格、そして執着心…尻尾を斬ったときから旅するとこに必ず現れ撒いても撒いても追いかけてくる…数年会う事は無かったが…ヒスイめ! 余計な奴を連れてきて!!





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