-賃貸屋の長期休暇、海へ行こう②-

私達、賃貸屋一行は昼のバーベキューを食べ終え、それぞれ自由行動、それぞれの楽しみ方で海を漫喫している


「ヒナタ! あの岩まで勝負だ!! 」


「ん? わかった! 負けた方がイカ焼きをおごるでいいね! 」


「よーーーい! っておい! ずるいぞ!」


青と白の縞模様のワンピースの水着を着たヒナタと黒に白の3本ラインの入ったサーフパンツのクロ―ド、クロ―ドの合図を待たず泳ぎ始めるヒナタをクロ―ドはあわてて追いかける。


砂浜で浜では…白の生地に『ひすい』とひらがなで書かれた黒い文字、それを張り付けた紺色の水着…


「これが海でのテンプレという物じゃ!」


「スク水と言われるものですねとても可愛らしいですよ」


スクール水着を着たヒスイがプラスチックみたいな物で出来たシャベルで砂遊びを楽しんでいる、その横では黄色のビギニとフリル…フィンが一緒になり遊んでいるが…砂遊びのレベルをはるかに超えた芸術…ミニチュアの王都ラ・ワールドが再現されており周囲にいた物達がざわついている


「あれ…王都だよな…」

「どうやって作っているんだ? 固定魔法?! 」

「あ、あそこ私の家!」

「ククッ…その力、我がダンジョンにほしい!」


そして…海にこなくても常に日に焼けた黒い肌と鍛えられた筋肉…ヴォルフは足場の悪い砂地での鍛錬…走り込みを行っていた…ピッチリとしたブーメランパンツ…見た目はボディービルダーそのもの…ヴォルフの前を走る3人のチャラ男達…


「ひ~~~~」

「もう…足が…あがらな…」

「助けてくれーーーーーー!!


また海にいる若い女性に声を掛けようとしていたところヴォルフに目撃、捕獲されその性根から鍛え直されていた…ご愁傷様…


「着替えたし…私も泳いでこようかな~ 」


「黒い水着にジーンズ生地の短パンといつもの白いパーカー…あんま変わってなくね? 」


「いやいやいや変わってるでしょ! どう見ても! 」


「水着に着替えると…意外と胸あるんだなイズミ…っておい! やめろ!! 俺はスイカじゃない!! 」


胸無し胸無しと!! こいつそろそろ消してしまおうか…砂に埋もれて顔だけ出しているアキトにスイカ割り用のによういした木の棒に強化をかけ振りかぶる。


「ちょ! や…やめてえええええええええええええええええええええええ! 」


港町イルセアに若い男の悲鳴が響き渡った…


夕暮れ…海を楽しみ、私達は今日から宿泊するホテルに向かう、宿ではなくホテルにだ! リゾート地だけに数多くの宿屋はあるがここは転生者が経営しており内装もその中では最先端! 私が経営する賃貸屋、提供する物件と設備は差はさほどない!! とはいえ私の方が技術は進んでいるけど…

私やヒスイ、リーナ様よりは古い時代…カエデさんと同じぐらいの年代かな? 怒られそうだ…だが私のしっているホテルより内装関係が古く感じる。


魔導具式の自動ドア、どうやら入口前に立つマントを着た男の像がセンサーの役割をしているようだ…趣味が悪いと言ったら皆が私を見る…ミスターとミスター2号のほうがかっこいいやい! 一緒にするな!!


ロビーに入るとホテルスタッフが並び、受付までの道を作ると


「「「「ようこそお越しいただきました」」」」


気持ちがいい挨拶が聞こえてくる。清潔感のあるビシッと決めたスーツ、男性はネクタイ、女性はスカーフ、私の店では服装は自由にしているがこの光景をみるとやはり格好がいいし見栄えもすごい。


私達はフロントへ行き受付を済ませ鍵を受け取った、部屋分けは私とヒスイ、フィンとヒナタ、アキトとヴォルフそしてクロ―ド、3部屋、各自荷物を持ち移動しようとした所で私は思い出す…


「……」


「どうしました店長? 」


「……いや…アキト掘りだすの忘れた」


「「「「「あ」」」」」


私達は荷物を各自の部屋に置くと皆で海へ逆戻りした…海へ到着すると誰かが泣く声…

アキトは小さい子供達に木の棒などで突かれながら泣いていた、私たちは急いでアキトを砂から掘り起こし謝る、ホテルへ戻る道中も謝り続けたが泣き止む様子がない…


「いいかげん泣き止みなさいよ…」


「ずずっ…解るもんか俺の気持ちは体験した人しか分からない…」


鼻水をすするアキト…やりすぎた…というか本当に忘れていた…私達は各自の部屋に解散し荷ほどきを開始する。


----フィン&ヒナタの部屋----


「いちばーーーーん」


「ヒナタ…一番といっても私とヒナタしかいないのよ?」


勢いをつけてベッドに飛び込むヒナタ、そしてベッドはスプリングが効いておりそのまま隣のベッドへ飛ぶ! それが楽しかったのかトランポリンの要領で飛んで遊ぶヒナタをヒスイは母親のように咎める


「もう! ヒナタいいかげんにしなさい! 荷物運んで必要なものを出しなさい! 」


「はーーーい! …あっ…櫛とか忘れた…」


「もう! 私のを貸してあげるわ…」


「助かる~~~今食べるお菓子と後でみんなで食べるお菓子と…」


ベッドに広がるお菓子お菓子お菓子…服等は本当に必要最低限、逆に生活用品があまりない…


「そんなのばっかりもってくるから!!」


「えへへ~~~店長の部屋いってくる~~~~~」


ベッドの上に広げたまま部屋を出ていくヒナタ、頭を抱え深いため息をつきながらそれを見送るフィン


「仕方が無い子ね…」


自信の荷物を整理した後、ヒナタの荷物を片付けはじめる。



----フィン&ヒナタの部屋----


「いや~結構いい感じの部屋だねイズミン」


「そうね~…窓から見える海、見渡しも抜群ね!」


入口を入り右側には洗面室の両サイドにはシャワールームとトイレ、そして左にはキッチン、奥へ進むと広い部屋、本棚もあり小説や漫画、港町イルセアのガイドブックの数々が並ぶ。

室内には小型の冷蔵庫があり缶のエールやジュースが並ぶ…さっそくエールを2本取り出しヒスイと私は椅子に座りながら飲み始める。


「たまには王都いがいもいいわね…ゆっくり羽が伸ばせる」


「そうじゃな~祠住まいの時と比べると王都の暮らしを始めたのもいいが」


「よくあんなジメジメした祠で生活できてたわよね…」


「んむ…今思うとなんであんな所に住んでいたのじゃろ…」


「「……」」


ヒスイも元住んでいた世界は同世代、あんな祠での生活なんて耐えられるはずがないのに500年のほとんどをあそこで生活…考えられない…


「店長~~~~! 遊びに来たよ~~~! 」


「「いらっしゃーい」」


ヒナタはジュースを取り出し飲み始める…少し経つとフィンが来てヒナタに軽いお説教をして4人でワイワイとはしゃぎ始めた…


「そうそう、新しい店どうしようかね」


「社長室と応接室はさすがに分けた方がいいとおもいますよ」


「ん~~~休憩室がほしいかな~」


「できれば魔導モニターが欲しいの~書類でやり取りするのが不便じゃ」


「祠暮らしの最先端からほど遠い生活していたドラゴンさんが便利な生活に染まり始めている…」


「私の部屋、2階もこの際だから大きくしようかな…」


あれやこれやと意見を出し合う私達、この際だから皆店で暮らそうという意見もあったが寮はこないだ建て替えたばっかなので却下した、しかし、1階を店舗、2階をテナントとして3階に私の家という案はいいな~と思った、問題はどのようなテナントを募集するか…いやあえて地下を設けて…あ…駄目だ、今は絶賛その地下部分にあたる場所に処理施設の構築工事をしている…



「イズミン…ここは温泉があるらしいな…」


「ええ…このホテルの目玉でもあるわ…日々の疲れを取るのにもってこいよ」


「美容にもいいんですかね~」


「温泉?! 店長、ここ温泉があるの~? 」


「もう少ししたら行きましょうか? 食事の前に一度行きましょう」




----男3人の部屋----


「野郎ども…わかっているな」


何故か正座させられている二人…そして先ほどまで泣いていた男とは思えないほど厳しい表情でヴォルフとクロ―ドに言い放つアキト…部屋はなぜか真っ暗だ…


「お、おまえ…本当にやるのか…」


「アキトさん…死んじゃうよ? 」


「ああ…やるさ…男の子にはやらないといけない時がある…そう…それが今だ」


「「……」」


「温泉だぞ! お前ら! 女の子の裸を見たいとは思わないのか!!!」


「ん~~~~~~~~」


「ひ、ヒナタの裸…」


「クロード…顔が赤いぞ…そしてヴォルフ鼻血がでてるぞ…その強面だとキモイぞ」


「う、うるせ!!」


「ひ、ヒナタの裸…」


クロ―ドに指摘され鼻血をふき取るヴォルフとヒナタの裸を想像し真赤になるクロ―ド、そしてテーブルに紙を広げるクロ―ド。


「よしまず作戦会議だ」


「お、おう…」


「本当にやるんですかクロ―ドさん…」


「バカやろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!! 」


「痛い!!」


アキトは強く握った拳でクロ―ドを殴り飛ばす! クロ―ドは吹き飛びベットへ落ちる…頬を抑えベットに横たわりアキトを視るクロ―ド、不自然に乱れる服、


「「なんかエロいな!! 」」


「殴るなんてひどいですよ!! 」


そして男達三人は作戦を考え始めた…普段以上に真剣に…

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