‐年齢推定500歳の・・・‐
王都リ・ワールド、山脈や鉱山、自然豊かな森と澄み渡る海、多くの街と村が存在し
今は深夜ちかくなり王城、城下町、各町と村、王都をつなぐ道の松明、建物の明かりが灯り美しい夜の景色を映し出している。
そんな静かな夜にリ・ワールドの上空でリズムを奏でる女の声が聞こえてくる…
「WAR WAR 争いは…」
耳には魔道具が取り付けられ音楽が奏でられている…中で魔導電気信号と振動で記憶された音楽を再生するユクド・ヘイラの歴史の中でも古い…しかし今現在でも娯楽として数多くの物に利用されている魔道具
「…… おろかさきえさりし…」
歌を囀っている女…にしてはその体は大きく美しい鱗に強大な翼、鋭い爪と牙、尻尾はリズムにあわせて降られている…爬虫類を思わせるその姿…体色は蒼く、瞳は黄金
「WAR WAR ふんふふんは STOP いっと」
とてもご機嫌なようでその手にはイカ…いや海に生息する魔物…漁師たちの天敵クラーケンを握っている
「いい感じの小型なクラーケンが取れたわ…今日はイカ焼きじゃ!」
この世界ユクド・ヘイラにはドラゴンが数多く生息する…魔物で兇悪な竜、そこから進化したと言われる竜人、そして竜または竜人から精霊へと至った竜精…そしてその上には
彼女がご危険で歌っていると目の前に小型に部類される竜が飛んでくる…
「ん~? 私の獲物を横取りするきか? 私を誰と解っての無礼なの頭…まぁわかってないな、しょせんただの魔物じゃし…」
自身の尻尾を振りかぶり…竜を叩き落とし言い放つ
「竜王翡翠の獲物を狙うなんて100年早いわ!! …あ、いけない…あ~…逃げるが勝ちじゃ」
言い残すと彼女は自らの住処、古くから竜王を祭るヒスイ山脈にある祠へと帰っていった。
----------
イズミはその日の仕事を開始するため窓をあけ放ち、心地よい朝の陽ざしと早くも起きだした活動をはじめた人々、行きかう商人と冒険者、旅行者達の足音、会話、を聞きながら青空広がる上空をみて。
寝癖のついた髪を手櫛で解き…背伸びをし
「う~~~んいい朝だ~~~~」
全身に朝の空気を吸い込み階段を降り店舗に繋がる扉をあけると
「もうお昼ですよ…」
書類を整理しながらフィンがジト目でみてくる。
「すいませんでした…」
今日も賃貸屋【ISEKAI CHINTAI】は平和だ…いや…
「やっほ~~イズミン~~~元気~~~」
平和は崩れ去った…一人の人物、竜王翡翠の来襲である…彼女は人化した姿で現れた…
流れる蒼い髪にどこか冷たい黄金の瞳、腕と首元には美しい鱗が垣間見える竜人族によくみられる特徴、ただ翼と尻尾は無い本人曰く自由に顕現させることができるそうだ。精霊化し500年物長き時を生きるおばあちゃ…頭をはたかれた
「おばあちゃんじゃないやい!」
「心を読まないで…」
「向うの世界ではいちよう同い年じゃ! …こっちの世界で数十倍生きてますけど…人間経験よりドラゴン経験のほうが長いが…」
そうこの人は私とリーナ…たぶんカエデもだけど同じ歴史を歩んでいる世界から来た転生者だ同じ世界といっても年代、次期がバラバラだが順番で並べるならカエデ→リーナ→私と翡翠だ
アキトや三朗の世界とは似てはいるが歴史が違っていた三朗の世界はかなり私達の世界に近いものではあったが科学の発展が若干遅かったりの違いがありアキトの世界なんかは日本が存在しなかった…
転生者、転移者でも元の世界がまったく違う物、獣人族が暮らす世界や、酷似はするが別の世界、パラレルワールド…など…歴史とか好きな私は侍が支配した世界に興味が惹かれた。
私達は立ち話もあれだし店の奥の休憩所もとい応接兼社長室へ入ったもう少し広くするかな…
「んで…今日は何用で?」
「いや~もう随分たってしまったけどドラゴン墜落事件の詫びと家さがしに来たのじゃ」
「あのドラゴン落としたのヒスイだったか…いや同じ日に気配は感じてたけど」
「ごめん、あの後ラーメン食べに行きながら情報集めたのじゃが、イズミンの契約相手の家に落ちたと聞いてね」
「怒られると思ってほとぼり冷めるまで来なかったと…というか三朗さんの店? 共食い?!」
「そうそう…美味しかったな~竜肉のチャーシューに醤油ベースの竜骨スープ…自信の尻尾で試したけどうまくできなかったよ~・・・・って共食いじゃないわい! 知っているじゃろ竜精と魔物は違うって」
ん~なんか微妙なノリつっこみ…いやてかあんた自信の尻尾で試すなよ! 食べるなよ! いくら再生すると言ってもグロイわ!! 尻尾顕現させてないの無いからじゃないよね? 再生できるよね?!
「んで…なんで家探ししてるんですか? 祠があるでしょ!」
「ついにね…飽きたのじゃよ…祠暮らし…」
「………数百年同じところに住んでれば…飽きますよね…さすがに…」
以前いったけど内部はジメジメしたところでお風呂やトイレもないし…あれいままでどうやって用を足していたんだろ…考えるのは予想…
「それは乙女の秘密じゃ…」
黄金の瞳が私の瞳を除く…近い、顔が近い!!
「すっかり頭から離れていたのじゃよ…ドラゴンだから竜王だからって山奥とか海とか、祠とかダンジョンとかに住まなくても人化して普通に家に住めばいいことを…よく転生や転移物で家族達も不老とかあるけど最初はここまでこの世界に同じ転生者、転移者がいるとは思っていなかったし? 不老も苦労はあるけど普通に手に入るし? 」
「まーそうだよね~この王都は特にさまざまな人たちが集まって魔道具や技術も少しは発達させているからね~便利だもんね~」
「そうそう…でも意外と技術の発展って難しいよの…創造魔法はあるけど簡単に再現なんてできない、技術を伝えるといっても再現するための知識がなければできないしイズミンでも私たちの世界の住宅や簡単な道具ぐらいしか再現できないじゃろ?」
「そうなんですよね~スマホとか便利だ~使っていましたが、いざ再現しようにも中身は理解できてませんから無理でした」
この世界ではまだ電気発電などは再現されているない、いや電気発電自体は魔力があり魔力の源はそこら中にあるから問題はない、私の身近な魔道具として火の魔石を利用したコンロや水の魔石と併用した湯沸かし器、風の魔石を利用した扇風機やクーラーなどは再現されており楓さんの店や翡翠が愛用しているヘッドホンなどは先代の人達が再現した記憶にある音楽を録音できる魔道具を発明したが…その製法は秘匿されており高級品である。
まあ何でもかんでも技術を伝えてたら特も無いしね…儲けも生活するには必要だし自らライバル増やす人なんていないわね…
「そろそろテレビあたりほしいの~」
「娯楽がほしいですよね~~~でも私は下水処理施設がほしい…リアルRPGを現在進行形でやってますけどね…目の前にボスが!」
「せめて中盤以降のボスにして?」
「それで…どんな家をご希望で…」
雑談を中断し翡翠が来店した本来の目的を話はじめる。
「トイレとお風呂は別でユニットタイプは論外、ココとギルドと王城が近いほうがいいかな~人化して暮らすから大きさはきにしないでいいのじゃ、逆に広すぎると落ち着かないタイプだから」
「了解~どうしようかなマンションはこないだ最後の空き室うまったし…」
扉がノックされ返事をするとフィンがはいってくる手に持つお盆にお茶と菓子。
「あ、フィンありがと助かる」
「いいえ~マンションタイプとアパートですか…そういえば店長、私とヒナタが住む社員寮…元が中古の屋敷を店長が直したものですが…その…床が軋んだり、屋根から雨漏りが…」
「それ本当? 早く行ってよ!! 」
「社員寮? それはココから近い?」
「ええ、竜王様…店舗でて直ぐですね、出されている物件情報を見る限りでは古さを除けば条件にあてはまりますね…空き室もありますし」
「そしたら私もそこがいいの」
「ん~~~~~~~~~~…よし! 社員寮兼用のアパートに建て替えよう」
「あの…店長…ヒナタと同質でもいいのですができれば別にできますか?あの子寝相が悪くって…」
「イズミンできれば最新の設備で頼むよ?」
「はい、はい解りましたよ~間取りとか決めちゃおうか~」
建て替えると決めて翡翠さんとフィンに意見を聞きながら外見、内装と決めて髪に書いていく。
ちょうど隣は空き地だしギルドに行って土地を買おう。
「て~んちょ~ただいま~~~お客さん待ってたよ~~竜王様こんにちは~」
「あらいけない店長、私は仕事に戻りますね~ヒナタ! 寮が新しくなるわよ! 貴方も仕事が終わったら案をだしなさい」
「え? 本当? やったーーー」
フィンがヒナタを連れて戻っていく…そのあとも私とヒスイは意見を出し合う。木造もいいな~裏には池でも作ろうかな? あとはフィンがよろこびそうなガーデニングが楽しめるように植栽を…
2階建てにして一般の客もいれて~ギルドも近いしすぐに契約者が来そうだ…たしかギルドマスターがクロ―ド君が一人暮らしを考えていると聞いてたっけ…そういえば…
「王都に暮らすのはいいけど仕事は?」
「ん? ここで働くが?」
「ここで?…」
「そうここで」
「「……」」
互いの顔を見る私達…ああ~そうここで働くのか~そうか~~~
「いや聞いてないんですけど?」
「うん、今言ったし…馬車馬のように働けるぞ? ドラゴンだけど」
どうやら私の賃貸屋に新しい従業員が加わるようだ。
来る人は拒まず働いてくれるのはありがたいしお金には困っていないから…というかヒスイ自体も困っていないはずだけど祠には金銀財宝いろんなものが転がっているし、竜王の鱗なんか本来なら1枚で城が建つし他の大陸に伝わる聖剣の材料になるぐらいだし…また店が愉快に騒がしくなるかな~それはそれで楽しみだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます