-王都から離れた????? -
私は松明で照らされた道を剣を下げて進んでいく…道中には複数の魔物が眼を光らせこちらを警戒し時折その牙を向いてくる…私はそれらの魔物を斬りつけ、時には魔法を駆使し討伐、魔物から落ちる魔石やダンジョン内の鉱石を回収していく…
そして…目当ての場所へとたどり着く広い広間だ…見上げるほどの大きな扉…
その扉を守護するかのように羽の生えた鳥、いや人型の所謂ガーゴイルの形をした像が立ち並ぶ。
像の前を通るたびにガーゴイルの眼が赤く点滅していく。
私は扉の前に立ち…ステータスまかせに扉をあけ放つ
そこに奴はいた…体から漏れ出る魔力は膨大、肌は黒く、翼が生え…赤黒い髪に頭部に羊の角の生えた男
広間の奥、魔物の骨で作られた王座に足を組み座している男のステータスにはこう記されている。
<魔王>
扉をはいってから魔王以外にも複数の気配を感じこちらを威嚇してくる。
そして魔王が口を開く…
「ククッ…よくぞ…よくぞここまでたどり着いたイズミよ!! 」
「来たよ…魔王…魔王シュナイザー」
「ククッ…お前らは手を出すなよ…あいつは吾輩の客人だ…」
「「ですが魔王様!!」」
魔王が言い放つと気配は息をひそめた、魔王の部下たちだ…気配を消したところで私には関係ない全て見えている!私は正面に座す魔王に視線を戻し
「魔王!! わかっているでしょ? 私が来た理由を!! 」
「ああ…わかっているとも…」
私と魔王は中央に互いに立つ…
「そう…ならば…」
私は身構え…
「ああ…始めようか!!」
魔王が構える…
魔王は顔に獰猛な笑みを浮かべ襲い掛かってくる!! 強靭な筋力、空気さえ切り裂く一撃
それに私も対抗していく。
広間に響く音と衝撃、私と魔王は互いに笑みを浮かべながら攻防を繰り返す。
体の動き、微かな筋肉の動き、目線、全てを通し動きを予測…スキル…未来視…平行思考…すべてを動員し1秒が永遠のような時が止まる間隔…お互いの全てをつかった戦い
楽しい…とても楽しい時間だ…
「ククッ…やるなイズミよ」
「ええ…貴方もね……そこっ!! 」
「甘いわ!!! そんな手は我に通じない!! 」
手ごたえのあった私の攻撃にすかさず反撃をしてくる…
「まだまだああああああ!! 」
早く! さらに早く! 私はその手を加速していく! 相手に余裕を与えさせない…
「ココ!!」
私の会心の一撃!!その衝撃は広間一体に広がる!!周囲で控えていた者たちも歯を食いしばる
さすがの魔王にも悲愴の表情を浮かべる
「…グッ…さすがだな…」
とても長いそしてとても短い攻防の数々…私達の動きをどれだけの物が追うことができるのか…
「そろそろ手がなくなって来たんじゃない?」
「ああ…だがまだああああああ!! 」
「魔ぁオオオオオオオオ――!! 」
「イィズゥミィィィィィィィィィ――!! 」
互いが互いの名を叫びながら私と魔王は互いの全てを全身全霊を掛けて残された手を使う使い切る
そして…
その戦いは…一つのたった一つの音でその幕を閉じる…
数分…いやたった数秒の衰弱…獣人、魔族、魔王の眷属達がどよめき始める…
パチっ「……はい!王手よ!」
「グヌッ……我は…また勝つことができなかったのか…」
「負けたのだから解ってるわよね?! 家賃を払いなさい!! 」
私は魔王に言い放つ! そして魔王がとったこうどうは…
膝を地につけ…腰を折り…両手を…
「イズミ!! 頼む!! 頼むゥゥう!! あと10日…いや5日でいい!!時間をくれ!」
土下座した…
「また? ねぇまたなの?! 今回は将棋、前回は囲碁! その前はトランプ…もう何回まっているとおもっているの?! いや別にダンジョンなんてもの借りるもの好き貴方ぐらいしかいないけど?! 」
そう…こいつ…魔王シュナイザーは賃貸料金の支払いを延滞している…
「…すまない…眷属達への報酬を払うだけで金が……」
「シュナイザー…貴方さ…魔王ゴッゴなんかやめて健全に働きなさい!!…しょうがないから…今回も待つわよ……その代わりわかってるわよね? ちゃんとダンジョン産の鉱石や魔石、資材を届けなさいよ! 延滞分の家賃から差し置いておくから」
その後、魔王を正座させて説教を続ける私、私達二人を見ているシュナイザーのゴッコ仲間達、オイなんでアキトもいる…アイツかダンジョンを教えたのは!! 絶対借りる人なんていないと思っていたから秘匿物件にしておいたのにいつの間にか契約されていたのよねココ…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます