stage 14 上を向いて歩こう -Naoki side-

 本尊の前で結跏趺坐を組むヒロをよそに、残りの三人は騒ぎに騒いだ。 


     ※     ※


結跏趺坐けっかふざ』(別名:蓮華座)

右足を左ももの上にのせ、左足を右ももの上にのせる坐法。

また、片方の足だけを他方のももの上にのせる座り方を「半跏趺坐はんかふざ」という。


     ※     ※


「なぁなぁ、ジンちゃんよぉ。一服キメて瞑想すると気持ちいいのか?」


「知るわけねーだろバカ!俺が修行僧に見えんのか?」


「ブッ、アッハハハハハ。ギャハハハハハ。やめてくれ~。あ~腹いて」


「・・・・・・・」


「修行僧に見えんのか?じゃねーよ。お前のシルエットは修行僧そのものだろ。アーハッハハハハハ。は~ダメだ~笑い死ぬ~」


「・・・・・・。頼むからそのまま逝ってくれ。ここは寺だしな。いつだって準備万端だぞ。アッハハハハハ。盛大に送ってやるよ!」


「ハッハハハハハ。冗談はともかくだ。俺はピーンときた」


「あぁ?」


「宗教とマリファナは切っても切れない関係だってな」


「だろうな・・・。瞑想中の脳内では大量の麻薬物質が分泌されるっていうじゃねーか。きっと今頃、あの長髪野郎の頭ん中はドロドロのカクテルだ」


「やっぱりか・・・」


「ナオキ、妙案でも浮かんだか?」


「・・・・・・。そんなに相性が良いんならよ、いっそマリファナと宗教をしてみねーか?」


「は?セット販売?」


「ああ。せっかくのを効果的に使わなきゃな」


「・・・・・」


「よしっ!イメージは出来上がった。俺は、バンコクに戻ったら本格ヨガスタジオの経営に動き出す。10年、20年かかる修行が、またたく間に成就できると評判を呼ぶはずだ。もちろん、その影に"テルマの力"があるのは言うまでもない」


「・・・・・・。お前は末恐ろしいヤツだなぁ」


「ハッハハハ。いい機会だ。ついでに俺様の経営理念を述べておこう」


「待ってました黑老大!(マフィアのボス)大演説をぶってみろ!」


「えぇ~オッホン。それでは僭越ながら・・・」


「・・・・・・」


「俺は金の為だけにビジネスをやるつもりはさらさらない。マリファナだって宗教だって、"人を幸せにしよう"、"病んだヤツらを救ってやろう"って大義名分がある。自分たちの行動に何ら恥じる必要はねえ」


「・・・・・・・」


「ジン!ヨンファ!ヒロ!上を向いて歩こうぜ!」

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