汁なし担担麺の幸福

 麺類が好きな私は、小池百合子知事の「『長い物に巻かれろ』ではありませんけど」という言葉を聞いてちょっとした嬉しさを感じる。

「唐揚げか担担麺、どっちがいい?」

「唐揚げ5個。」

「瞭は?」

「唐揚げ6個。」

「6個なんてお兄ちゃんより多いじゃない。だめだよ。瞭は3個ね。」

「えーなんでー?」

唐揚げが好きな息子2人を前に、私は少しがっかりした表情を浮かべる。正直なところ、断然担担麺を食べたかったから、この懸けは見事に成功したと言えるかもしれない。でも、麺類のおいしさ、素晴らしさに気付いてくれない息子には、落ち込む限りだ。

「あれ、これ汁とか付いてなかったんだっけ?」

「これじゃない?」

「それは違うよ。あれ?」

「あ、なんか『汁なし』とか書いてあるよ。」

し、汁なしだと!?そんな担担麺が存在していたのか…。というよりそんなもの存在していいのか?

「へー汁なし担担麺かー。いただきまーす。」

何事もチャレンジ。極論を言えば、これも「麺類」であることに変わりはないのだから。

「お、おいしい!何これ!」

「ぼくにも食べさせてー!」

「はい、どう?」

「これおいしいね!」

「汁があるものだと思ってるから驚くだけでしょ。世の中要らないものばっかりだよ。」

確かに。なるほど、そうだ。ん?それにしてもどうして息子がこんな真面なこと喋っているんだ!?

汁をなくすとおいしくて、そのあと汁をつければおいしく感じる。それでまたなくしてしまえば、またおいしく感じるのか。よく分かんないけど、結局、どうなっても麺類は麺類だから、おいしいことに変わりはないのか!

私は、麺類が大好きだ。

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