缶コーラの思い込み

こうだ。そうだ、そのまま。


息を整えた。深呼吸をして、背が高くなっていくような感覚に驚いてブルッとなった。


もう少し飲んだ方がいいか。


ゴクンッ


いや、少々飲み過ぎたか。


缶コーラの軽さが後ろ髪を引っ張る。分からない。まだ、これがベストかもしれない。



止まった。大丈夫だ。倒れる雰囲気はない。よし!


「よっしゃー!止まったぞ、舞美!」

思った以上に声は出た。名前を自然に口にできたことが無性に嬉しかった。

「何?え、すごい!どうしたの!?」

「いやー頑張ったな俺!」

「なんか静かだなと思ったら。どうでもいいことには集中できるんだね。」

笑ってくれた。ずっと、このために馬鹿なことしてた。くだらないからこそ、笑ってくれると信じていた。

舞美が笑ってくれた後も、コーラは倒れないで止まっていた。心なしか、少し僕の方に傾いているような気がした。

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