その27 わふなひよ


 検索結果……花


 花と雑貨を扱う『hana-hiyo』さんというお店のブログがヒットしました。

 花の説明はするまでもないでしょうか。筆者は世代なのでオレンジレンジの楽曲を思い出します。

 ベランダでお花を育てるのも心が落ち着きますよね。


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 A案 最高のブーケトスを!

 セレブの子供同士が婚約し、二人は贅の限りを尽くした盛大な結婚式をしようと考えた。

 広大な会場。豪華なゲスト。一流の料理。しかしブーケトスだけはどうしても妙案が浮かばない。

 希少な花のブーケ? 取った人には金一封? 超長距離ブーケトス? だんだんと話はおかしな方向へ。

 結婚式当日。未婚の女性たちが期待して並ぶ中現れたのは、ブーケを手に持った花嫁姿のロボットで……?


 B案 死の花

『死の花』と呼ばれる奇病が発見されたのは、つい最近のことだ。

 死の花は俗称で、正しくは『寄生植物性脳失調』という。その名の通り人間の脳に植物が寄生し、体を乗っ取って成長。最後には頭から芽が生え、花が開くと同時に宿主は命を落とす。

 まるで血のように赤い花が咲くので、世界で最も美しい死に方だなんて背筋が凍るような紹介をされる病気だ。

 僕の彼女も、この病気にかかった。

「今の医療じゃ、治療は無理なんだって」

 以前のように優しい彼女の笑顔。少し違うのはその目に涙が溜まっていることと、脳みそには複雑に植物の根が絡まっているということ。

 僕と彼女の、最後の三カ月。


 C案 種が欲しいだけなんです

 渡界。つまり異世界に行く方法が開発されて以来、研究者たちはこぞって“あちら”の研究に乗り出した。未知や不思議が大好物の彼らにとって、これ以上の餌場はない。

 しかしそうなると割を食うのは、私たち平研究員だ。向こうには警察も軍隊も法律もないのに、モンスターやら亜人やら異常気象やらのオンパレード。杖頼りのおじいちゃんたちをそんな場所に行かせるわけにもいかず、専門知識のない人間が行かないわけにもいかず……。

 私も先生から依頼され、異世界の植物のサンプルを取ってくる任務に就いた。

 数が多いのはこの際諦めるけど、向こうの花は勝手が違いすぎる。喋る花に対して「種を分けてください!」って土下座した人類は私が初なんじゃないかな。

 今日も護衛の皆さんの陰に隠れながら異世界を駆け回る日々です。



 以上、三本です。

 小さい頃つつじの花の蜜とか吸ってたなあ……。

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