うちの姫様

夕闇 夜桜

まず、はじめに


 東側に海が存在し、西側に山や他国と隣接している国、ファルファーレ。

 比較的気候が安定しているこの国には、とあるお姫様が暮らしていました。

 王様やお妃様だけではなく、他の(腹違いも含めた)兄弟姉妹きょうだいたちとも仲は良いのですが、そのお姫様には、少し困った部分がありました。

 それは――……





「何これ」

「この話の簡単な説明ですね」

「そういうのって、普通は『あらすじ』じゃないの?」

「『あらすじ』とは、また別なんでしょう。文字数制限とかの問題もありますし、どちらかと言えば、物語の冒頭っぽい書き出しになってますから、こっちに置いたんじゃないんですか?」

「ふーん……この『お姫様』って、私のことかな?」

「そうなんじゃないですか?」

「『困った部分』って、何だろう?」

「……何だろうな」


 心当たりのあった護衛騎士は、そっと目を逸らしました。


 ――これは、そんなお姫様と護衛騎士たちとのお話。


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