歴史小説を読んだのはおそらく初でしたが、圧倒されました…!
圧倒的な知識量に裏付けされた重厚な世界観が、無駄のそぎ落とされた美しい文章で描き出されていて惚れ惚れとしてしまいました…! 流麗な文章と生きた世界観が絶妙にマッチングしていて、とても引き込まれました。
東洋人を蔑むことでしかプライドを保てないできない家が嫌で飛び出した。でも結局のところ、人を見下す習性からは逃れられないでいる。個人的にこのくだりがとてもぐっときました。
それはそうと、重く暗い過去を持つ朝鮮人の彼ですが、哀しい過去が投げかける影ってどこか惹かれてしまうものがありますよね。妖しい美を作り出すというか! 昏い美の結晶という表現がありましたが、そう!まさにそれだ!!と一人興奮したりしていました(謎告白)
どんなに絶望しても、諦めずに粘り強く生き続けていればこそ、きっといつか笑える日もやってくる。そう感じさせられる素敵な物語でした…!<(_ _)>
作者からの返信
わあ、とても嬉しいコメントです~~~!
この二人はオリキャラなのでどんなふうにしようかなあと思ったのですが、「屈折したプライド」というのが一つのポイントでした。
彼らがこれからどうなっていくのか、というのは敢えて描かない方向にしておきました。20世紀はユダヤ人にとっても朝鮮人にとっても過酷な時代となりますが、そのあたりは敢えて……というところでしょうか。
興味深い企画、重ねて御礼申し上げます。
高校の世界史程度の知識しかありませんが、世界的にも激動のこの時代、様々な民族や国籍の者が集まり政治とは違う次元で絡み合う一種独特なエネルギーが渦巻いている、そんな雰囲気を感じ取ることができました。
ユダヤ人の主人公が美しい朝鮮人の青年に抱いた思いは義勇なのか、同情なのか、友情なのかはたまた淡くも特別な感情なのか……
そのあたり、読む人の想像に任せた読後感であるのは非常に文学的だと感じました。
イケメン鑑賞会という観点からいくとソフトBL的な解釈でもいけそうですが(笑)
この時代の歴史小説を読んだことがなかったので、新鮮な空気を楽しませていただきました。ありがとうございました。
作者からの返信
おお!ソフトBL解釈ありがとうございます!(笑)
実はアップしている作品全部ソフトBLという者なので、そう読んで頂けるのも嬉しいです(笑)
でもこれは卒論ネタでもあるので、どういう風にでも取れる、という感じを目指しました。伝わって嬉しいです~~~!
歴史物って、予備知識や思い入れがない人にも楽しめることが大事だと思っているのですが、実際にそのように書くのは難しいなあ、と思います。
素敵な企画、ありがとうございます!
実は陽野さまの『純情と激情』も好きで、楽しみに読んでいます。
歴史小説というと、少々敷居が高い感じがして積極的に読むことがなかったのですが、この作品は、冒頭から文章が美しく表現が魅力的で、謎めいた雰囲気にぐんぐん引き込まれました。
生きることの尊さを描かれた物語と思いましたが、あとがきにも示されているように、歴史は「普遍的な人間のもがき」ということ納得するばかりです。
壮大な歴史ロマンとは比べ物にもなりませんが、幼少期から各地を転々とし、故郷と呼べる地を持たない自分ともどこか重なる情緒があり、大変味わい深い作品でした。
作者からの返信
読んで頂いてありがとうございます!
歴史物も、歴史上の有名人の話と、この話のような名も無き民の話と両方書いているのですが、書いていて、本質的には同じじゃないか、と思ったりするのです。その人なりに、その時代を必死で生き抜いているという意味で。あえて歴史小説を書いているのは、人間って本質的なところで同じだということを感じたいからかもしれません。