ニート脱出への一歩。


やばいな…仕事してないと言うのに、ここんところ出費が重なって気づけば貯金残高は170万になっている。

それでも25歳平均貯金額よりは有るほうなんだろうけど、今後の生活がどう転ぶのかも分からないことを考えれば全然足りない。


あの時毎日遊んでいないで、もっと貯金しておくべきだった。今思えば無駄遣いばかりで先のことなんて一切考えずに生活していた。


なんなら光熱費なんてモノは使い放題なんじゃないかと思っていたくらいだ。


とりあえず、使わなくなったブランド品はオークションに出品し売りさばいた。


あれ以来、もちろんハローワークには行っていない。もはや行けない。行きたくも無い。


念のためネイルはオフし、明るめの茶髪も6トーンにまで落とした。

これで少しだけ今までの派手さは抜けきれたはず。


一樹が船に戻ってからと言うものの、何をするわけでもなく動画サイトを見て家事をやって夜は一人でお酒を呑んでを繰り返す日々。

まぢで腐ってる…私という人間はこのまま落ちていくだけのかな?


たまに聡美と遊んだりもするけど、無職な私は自分自身に負い目を感じ始めていた。


さすがにこのままじゃ、ダメだね。

ここまで来たら給料が多少悪くても選んでる暇はない!

その意気込みで求人サイトを開くと…


“カメラマンアシスタント、店内受付、パート、時給1000円 交通費全額支給” と言う見出しを見つけた。ページを開くと年齢、資格、職歴、不問と書かれている。

職場は車で30分くらいの場所だ。


これ、良くない?あまり深く考えずにそのままスマホで応募をした。


…~♪~…


スマホが鳴ったのはそれから4時間後のこと、知らない市外局番からで…もしや!と思い通話ボタンをスワイプ。


『はい』

「私、株式会社カメラスタジオHの採用担当の者ですが佐藤様の電話番号でよろしいでしょうか?」


きたー!!私は息をゴクリと飲んだ。


『あっ、初めまして。佐藤と申します。この度はよろしくお願いいたします』

「佐藤様、この度は応募頂きありがとうございます。

これからの流れを案内させて頂きたいのですが今お時間よろしいですか?」

『はい!』


私はテーブルに置いてあるメモ紙とペンを手にとって、採用担当の方の話に耳を傾ける。とんとん拍子に話は進み面接が来週の火曜日に決まった。


…ようやく面接までありつけた。良かった。

本当に小さなことだけど、少しだけ世の中に自分と言う人間が必要とされてるようで嬉しくて、本当にすがるような思いだった。


【人は、社会から必要とされなくなるとそれを周りや環境のせいにしたくなる生き物なのかもしれない。


けど行動一つで、出た結果がどんなに小さいものでも希望の光に見えるらしい】


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