我が身がだいじなのかしら

本能が拒絶した。私はスマホを放り投げた。

窓に向かって投げられたスマホは、カーテンにぶつかって、ごとりと落ちた。

私の口からは、言葉になるのを忘れた声が、ただただ拒絶を伝えている。あああ。あああ。あああ。あああ。

スマホは動かない。死んだみたいに。私が死なせたみたいに。あああ。あああ。ひどい音がした。あああ。耳元で、ああああれが死の音かあああ。

耳を掻きむしる。耳の中に死骸が入っているようで、気持ち悪い。いいいいい。手が動かない、指にまとわりつくこれは何。ああああああ。掻き出さなきゃ、耳を、耳をおうあああああああ。


だん。


ぶつかった、と思った。


は。


息が漏れた。


ふ。

暗くなった。

床が迫ってくる。床って迫るものなんだ、知らなかった。


あれ?

もしかして私これ

倒れている ん じゃ

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