第14話

男は、知っていました。

気づいていたのです。彼女の心が、未だ熟せぬ者だということ。


知っていて、なお、献身的に。

忍耐づよく、彼女のことを見つめていました。


ですが、もう。


男の心は、折れそうな樹木のよう。


ドッシリと根差していた地面が、凍てついて、負けじと焼けるように熱を帯びて。


崩れそうになりながら、必死で、遠く離れた時空の先の、彼女のことを想っていました。

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