第8話

無知で、それでいて傲慢で、世界のことを思ってた。

アンジェラは、もともと、そのような女の子でした。


世界のこと、救ってやると、どこからそんな野望が生まれたのか。


満たされたところにいて、世界のもつ「悲しみ」を、じぶんには、どうにかできる「ちから」があると考えていたのでした。

世界の仕組みを、わかったような、きもちになって。


男は、それを知っていました。


出合った頃から、ずっと、彼女と触れ合うたびに、ひしひしと感じ取っていたのでした。

ずっと、男と、いっしょにいても、あらぬほうを向いて、もとめ、もがいていた彼女のことを。

献身的に、男は、してあげられることを、して、ずっと、彼女に、よけいな干渉はしないまま、見守っていたのでした。


そうして、男は、彼女が天使に姿を変えたあとも、ずっと、彼女のことを、想って止まないのでした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る