No.2

無防備な秀美の背後でしゃがみ込み、バッとスカートをめくり上げる! 無反応。いつもなら悲鳴の一つくらい上がるはずなのに。奇妙に思いながらも、下着に意識を戻す。小さなお尻を覆う白い布地。やけに大きな赤い刺繍。ホルスの目だか秘密結社のシンボルだかが、俺をぎろりと見返していた。


「キミが下着を覗く時、下着もキミを覗いているのよ」


頭上から秀美のやけに冷静な声が響く。ぱっとスカートが翻るや、下方から布を押しのけて肌色の何かが飛び上がった。顔面に激痛。視界に飛ぶ火花。頭の内側から鼓膜を震わせる、べきっという嫌な音。振り向きざまの見事な膝蹴りだった。


「どういう趣味だよ……」


「しょ、勝負下着よ」


痛みにうめく俺を見下ろし、腰に両手を当てて胸を張る秀美。一見勝ち誇っているようにも見えるが、セリフは噛んでいるし顔も真っ赤だ。


「……見たんだから責任とってよね……?」


消え入りそうな一言がとどめになった。俺はたぶん、一生こいつに勝てないだろう。

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