第5話 燃

少女は一人、荒野を彷徨う。

街には何も無かった。

生物はおろか、食べ物や飲み水も無かった。

少女の足取りは重くなる。

少女はもう見えない。

少女はそれでも足を動かす。

目的の影も薄れ、意識がぼやける。

日の光が少女を焼き、足に重りを載せてゆく。

少女は遂に立ち止まる。

もう何を考えているのかも、わからなくなっている。

日が眩しいはずなのに、目の前は真っ暗で。

脳の回路が溶けてゆく。

少女は倒れる。

荒野の風が少女を飲み込み始める。

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